二十話・前編
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がら神速の槍の突きだ。
横へと考えるがレイフォンが跳んだのは後ろだ。真正面から一直線に伸びる槍は槍にして槍にあらず。
だがそれでも避けきれぬその脚鎗にレイフォンは剣で受け、殺しきれぬ衝撃に僅かに押され後ろへと飛ぶ。
飛ぶレイフォンに追いつかんと一瞬の間もなくガハルドが迫る。
それに対しレイフォンは衝剄を撃ちつつ体を回しその力で唐竹に剣を振り下ろす。
だが不安定な状態で撃たれた衝剄は大した威力もなくガハルドの衝剄とぶつかり風を生むだけで消える。
振るわれた剣に対しガハルドは右の手甲を向かわせ―――クンッと手首を弾き肘と連動させ手の内を回すように動かす。その動きに巻かれ剣の軌道が廻る。ガハルドは正面へと誘った剣に対し前後に間隔を開け刀身を左右から両の手で挟み込みこむ。
別段そこまでおかしいと言い切れないような動き。
このままガハルドへと突き刺そうか。
レイフォンはそう考え手に力をいれ――――視界の端、ガハルドが小さく笑ったのが映る。
瞬間言い知れぬ悪寒が背中を走る。
何故? それを考える前に体は思考よりも早く錬金鋼へと剄を送った。
ガハルドが使う剄技のほとんどをレイフォンは知っている。何故なら彼が使うそれはルッケンスの物であり、レイフォンはそれを全て収めただろうサヴァリスに何度となく襲われ技を見てきた。サヴァリスが天才であり他の者が使う際と多少違おうとも剄の流れは大凡同じ。だからこそレイフォンは相手の剄の流れを見ればある程度は分かる。
今ガハルドが練っている剄の流れは生憎覚えがないが、レイフォンはルッケンス全ての技を知っているわけでもないので別段不思議ではない。知らないというだけが理由ではないしこの程度の剄の量ならば何も問題はない。一体自分は何を感じたのか。
その答えは直ぐさま現れた。
刀身部分にガハルドの掌が左右から触れる。包み込むように優しく支えられ―――
―――ギィン―――
音が鳴った。
その音は金属が触れ合うような硬質の音ではない。まるで耳を貫くような不協和音にも似た金属の悲鳴だ。
瞬間レイフォンは悟り内心叫ぶ。
(!? 武器破壊技―――ッ!!)
込めた剄によってまだ錬金鋼は耐えている。全身の力で剣を振り込めた剄も使い無理矢理にガハルドの手をこじ開け脱する。
ルッケンス流・崩鳴掌
それがガハルドの使った武器破壊の化練技だ。
剄を特殊な振動波に変えて打ち込み錬金鋼を粉々にする技であり、左右から挟み別々の振動波を打ち込む事によってその干渉効果で行う。例えるなら錬金鋼の全体で共振による金属疲労を起こし崩壊させる様な技だ。
剄の流れから大体の形が分かるレイフォンが気づかなかった理由。それは化練剄だったから。化練剄に対し
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