二十話・前編
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守り手。
グレンダンにおけるその最高峰の称号をかけた戦い。
剄脈という人ならぬ異物を持って生まれた存在。只の人間では視認することすら不可能と化す動きによる戦い。
見えぬ拳に大気が悲鳴を上げる。残像さえ捉えられぬ刃に空が切られ大気が吸われる。
微かな残像が辺りに飛び交う。刻一刻と砕かれ刻まれ、見えぬ戦いの確かな証が場へと刻まれる。
砕かれた足場から立ち上る砂煙がふわりと揺れる。そして次の瞬間には暴風に飲まれたように飛び散る。見えぬその近くで互いの武器が触れ合ったその衝撃に吹き飛ばされたのだろう。技さえ交わさぬ触れ合いでさえ暴力的な渦を呼び破壊をもたらす。
人の姿が見えぬその場でまるで地面が自壊するように傷跡を刻んでいく。
始まった時は真新しささえ感じられた硬い地面。既に傷を残さぬ場所を探すほうが至難と化している。
同じ人間であると思えないほどの力。まったく別の存在とさえ思える程の超常的暴力。
それを振るう二人の武人。一般人は愚か、武芸者からしてもアレ(・・)は違うのだと思える程の力を持つ達人。
その更に“上”を決め上がる為のぶつかり合い。
武芸者が、“それ”が自分たちの絶対的庇護者であると疑わぬ民はより一層の歓声を上げた。
レイフォンの剣が振られればガハルドはそれをいなし流す。ガハルドの拳が迫ればレイフォンは剣で弾く。
レイフォンの剣は切れぬものなど無しとばかりに思わせるほど一刀一刀が鋭く美しささえ感じられる。斬線は僅かの乱れも見せず流麗な線を描きその軌跡を辿れば一動作かと見紛うばかりに流れ止まっていないことが分かるだろう。
ガハルドの拳は金剛にして千変万化。間合いの広さこそ剣に劣るものの化練の技を使うそれは先読みは至極困難となるだろう。その腕はまるで体の生き物の様に唸り足は蛇の如く軌道を変化させ隙間へと潜り込む。
火花が散る。
刃と拳が触れ合うたびに火花が散り刹那の光として彼らがいた痕跡を残す。ぶつかり合うあう技の余波が剄の焔となり揺らめく。
弾き受け流し潰し往なし斬り蹴り穿つ。
時には力で時には技で。今までに体に刻み染み込ませてきた経験から常に先を描き動く。
今またその切っ先がふれ戦端が開く。
レイフォンが肩から飛び込むように半身を前にガハルドへと接近。踏み込みと同時に足から腰へと伝導した力のままに神速の刃を振るう。
ガハルドは体を後ろへと引き廻る。地から天へと逆さに軌道を描くその剣の鋒が体を撫でるかのように僅か先を通り過ぎる。そのまま廻る力のままにガハルドの踵がレイフォンの側頭部を狙う。
レイフォンは鋒を切り返し向かう足を切り落としに狙う。
ガハルドの足がクンッと急下降する。狙いを変えレイフォンの脇腹へと落ちて
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