二十話・前編
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は向上心はあったし常に前を向いて人一倍修行していた。けれど真の意味で上を目指すことを辞めてしまっていたように感じた。否、諦めてしまったのだろう。
自分は彼ではないから何があったのか本当の所は分からない。けれど想像はできる。一番近くにいただろう相手と比べてしまったのだろう。自分が教えていた時ふとした端々にそれを感じた。
自分たちでも届く。
自分が天剣になれば、それを知れば、そんな彼に希望を持たせられるのではないか。
(貴様に若先生の隣など―――)
あそこに並ぶのは自分だと。その思いを込めてガハルドはレイフォンへ拳を振るう。
―――外力系衝剄変化化練変化・捻り蜘蛛
ガハルドの両手の間に伸縮性を持った化練の糸が掛かる。
振りかざされるレイフォンの剣をガハルドは小刻みに動いて避けレイフォンの脚部を狙った低い蹴りを放つ。
レイフォンは下がって蹴りを避けガハルドの蹴りの外側から剣を振りかぶる。
だがガハルドは直ぐさまレイフォンへと接近、懐へと潜り込む。振りかぶったままに距離を開けようと引くレイフォンに向け威力を捨て速さをのみを重視した軽い左のジャブを放つ。ジャブは鍔の近くに擦る。
そこにガハルドの左手から剄の糸が移る。
瞬間キリキリと捻られた糸が爆発的に縮む。
ガハルドの右手がそれを辿る様に動く。
―――ルッケンス流・雷轟蛇手・貫
全身の捻りに加え糸の爆発的な加速を得た螺旋の貫手がレイフォンに迫る。
逃げられる速さではない。避けようともこの距離なら糸を辿り貫手が蛇の如くうねり自動的に追尾する。
迫る貫手にレイフォンが剣を回しつつ真っ直ぐに突き出してくる。
剣の回転に従いガハルドの貫手も廻る。けれど通常の倍以上の速さの貫手は威力も通常とは桁違い。腕の螺旋が剣を弾く。
だが回る剣にほんの僅かに貫手の軌道がズレガハルドは肩を斬られる。剣を弾き飛ばさんと放たれたガハルドの貫手はブレ、結果弾かれた剣を不規則に追い糸が切れると同時にレイフォンの腕を抉り肩口まで滑る。
直ぐさま切り返される剣にガハルドは大きく後ろへ跳んで距離を開ける。
(ほう、耐えるか……。だが終わったな)
レイフォンの左手を見てガハルドは思う。
直撃はしなかった。けれど凄まじい勢いの貫手を受けたレイフォンの左手の指は薬指と小指がおかしな方を向き、腕の側面は抉れ血をとうとうと流し続けている。あれでは左手で剣を握ることはロクに出来ないだろう。打ち込んだ感覚からしたら左手は骨に罅が入っていてもおかしくはない。
ガハルドも肩を切られたが大して深くはない。僅かに痛むが腕の動きに支障はない。
被害差は歴然だ。
レイフォンが右手で剣を振るいガハルドを囲むように大量に閃断を
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