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対決!!天本博士対クラウン
第四百九十話

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                第四百九十話  その頃の今日子先生
 今日子先生は観客席にいた。実際にだ。
 その場所はロイヤルボックスの一つだ。その中にいてだ。笑顔で一緒にいる人に話した。
「やっぱりこの作品はね」
「好きなのね」
「ええ」
 にこりと笑ってだ。その人に答えたのだった。
「そうよ。そしてそれはよね」
「ええ、私もね」
 相手もそうだというのだった。
「好きよ。だから二人でね」
「こうして観てるのよね」
「そして聴いてるのよ」
 オペラは観るだけではない。聴く為のものでもあるのだ。
 それでだ。こう言うのだった。
「こうしてね」
「そういうことよね。そういえばね」
「どうかしたの?」
「ちょっと。気になることがあるの」
 舞台を観ながらだ。今日子先生は相手に述べる。
「少しね」
「というと?どうかしたの?」
「誰かにつけられてるみたいな。そんな感じなの」
「誰かになの」
「匂いを出来るだけ消して。それで気配は完全に消してみたけれど」
 そうしているというのだ。今日子先生も。
「大丈夫かしら」
「気配を消してるだけかしら」
「それと。カメレオンの魔術も使ってるから」
 その魔術も使っているというのだ。その魔術のことを聞いてだ。相手のその人は今日子先生に対してこう答えた。それなら、という感じで。
「大丈夫だと思うけれど。そこまでしたら」
「そう。それじゃあ」
「耳はどうしてるのかしら」
「私達が聴けても周りはね」
 今日子先生達の声は聴こえない様にしたというのだ。
「ちゃんとね」
「そうしたのね」
「そう。耳もそうしたから」
「そこまでしたら絶対に大丈夫よ。例え誰が尾行してきてもね」
「じゃあ安心していいわね」
 今日子先生も納得した。そこまで太鼓判を押してもらってだ。
 そのうえで歌劇を観続ける。そうしてだ。
 今の歌を聴きながらだ。笑顔で相手の人に言った。
「やっぱりこの歌がいいわよね」
「このオペラにはね」
「この歌を聴かないと意味がないっていうか」
「他にもいい歌が一杯あるけれどね」
「まずはこの歌よね」
 微笑んで言いながらだ。歌を聴く先生達だった。しかしその先生達にタロ達はまだ気付かない。一体何処にいるのか全くわからなかった。


第四百九十話   完


                  2012・5・8
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