第四百七話
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第四百七話 ツチノコ
主達にまで太っていると言われたライゾウはだ。他には。
家の廊下でだらしなく寝そべっているとだ。また華奈子にだった。言われるのだった。
「本当にあんたってね」
「何だよ、今度は」
「あれね。あれみたいよ」
「あれって何だよ」
華奈子の方を見ることなくだ。傲慢そのものの態度で主に返す。
そのライゾウにだ。華奈子はこう言った。
「ツチノコみたいな形してるわね」
「あのいるかどうかわからない蛇かよ」
「そうよ。丸々と太ってて」
とにかくそこに問題があった。何よりもだ。
「しかも尻尾があって。まんまじゃない」
「おいらは蛇だったのかよ」
「そうよ。ツチノコ」
また言う華奈子だった。
「それに似てるわね」
「今度はそれなんだな」
最早何を言われても特に怒ったりはしないライゾウだった。しかし表情はふてくされたものだ。それを見れば感情だけはわかった。
「ったくよ。おいらって何なんだよ」
「デブ猫」
華奈子は実にはっきりと言い切った。
「それ以外の何でもないわ」
「太ってて悪いのかよ」
「使い魔でそれはまずいでしょ」
「いいじゃねえかよ」
相変わらずふてくされて返すライゾウだ。
「おいらがデブでも何でもよ」
「もう開き直ってるのね」
「やる時はやるからいいんだよ。それにな」
「それに?」
「おいらは頭脳派だからな」
開き直ったうえでだ。こんなことまで言うのだった。
「別にいいんだよ」
「全く。幾ら頭がよくてもね」
「デブだったら駄目だっていうのかよ」
「性格が悪いと」38
ところがだった。華奈子はだ。今度はこんなことを言うのだった。
「どうしようもないわね」
「性格かよ」
「そう、性格」
とにかくそれだというのだ。
「あんた本当に性格悪いから」
「ふん、猫は皆こんなんだよ」
「またおばちゃんとポポちゃんに怒ってもらうわよ」
「それだけは勘弁してくれ」
これだけはというのだった。ライゾウもこの二人は苦手だった。
しかしだ。態度自体は全く変えずにだった。ライゾウはそのまま寝そべり続けてだ。まさにツチノコそのものの太った姿を華奈子に見せ続けるのだった。
第四百七話 完
2011・7・24
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