第四百四話
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第四百四話 博士と鉄棒
博士はだ。ふと公園の鉄棒を見てだ。小田切君にこんなことを言った。
「そういえば運動はのう」
「されたことありますか?」
「スポーツは好きじゃ」
小田切君に対して意外な返答で応えたのだった。
「それもかなりじゃ」
「えっ、そうだったんですか」
「左様。日課にもしておるではないか」
しかもだ。ジョギング等の様に日課にしているというのだ。
「毎日のう」
「あれっ、博士って特に何もされてませんよ」
小田切君の記憶にある限りはそうだった。
「ジョギングも筋肉トレも」
「いやいや、しておるではないか」
「散歩ですか?」
「いやいや、散歩でもない」
それでもないという博士だった。
小田切君はこの言葉に余計に首を捻ってだ。博士にあらためて問うた。
「じゃあ何なんですか?」
「うむ、殺人じゃ」
いきなりこれだった。
「それをしておるではないか」
「殺人ってスポーツだったんですか?」
「そうではないのか?カロリーを使うぞ」
「いや、カロリーは使っても」
それでもだというのだ。
「それスポーツじゃないですから」
「違うのかのう」
「じゃあ生体実験とか発明とか開発もスポーツですか?」
「カロリーを使うからのう」
博士がスポーツと断定する基準はそこにあった。カロリーを使うかどうかなのだ。それによってだ。スポーツかどうかを見るのだ。
そのうえでだ。さらにだった。
「だから殺人はスポーツじゃよ」
「その辺りのヤクザ者を殺すのってスポーツだったんですか」
「狩りじゃよ、狩り」
そうだともいうのだ。殺人は。
「獲物が人間であるだけじゃよ」
「それが滅茶苦茶問題なんですけれど」
「何、何の違いもないぞ」
「滅茶苦茶ありますから」
小田切君が突っ込んでもだった。
「それって」
「そうかのう」
「というか日課なんですね」
「今日もじゃ。朝にじゃ」
今は昼だ。つまり既に、であった。
「その辺りの不良中学生の首を電気ノコギリで切り落としてみたが」
「それでその死体は」
「サイボーグに変えてやったわ。中に爆弾を仕掛けてな
そうしたというのだ。これが博士のスポーツであった。博士のスポーツには犠牲がつきものだった。しかもこれが日課なのである。
第四百四話 完
2011・7・12
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