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木の葉芽吹きて大樹為す
青葉時代・逝去編
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 扉間の背後ではダンゾウ君とヒルゼン君が呆れた様に、でも少しだけ心配そうに私を見つめている。

「じゃあ、今日はここまでだね!」
「火影様、また明日!」
「じゃあねー」

 きゃらきゃらと子供達がお互いに笑い合いながら立ち去っていく。
 彼らの間には一族とかそう言う面倒なしがらみは無い。同じ子供同士、今度は何をして遊ぼうかと楽しそうに語り合っている姿に頬が緩む。

「あれほど黙ってお出かけにはならない様にと! あれほど言ったのに、全く!」
「はは。コハルちゃん達に聞いたのか?」
「そうですよ! 全く、火影様と来たらちょっと目を放せばすぐこれだ」
「油断も隙もないって、きっと柱間様の様な人を言うんだろうな」

 怒る扉間とダンゾウ君。ヒルゼン君はちょっとだけ遠い目をして、私達を見守っている。
 被っていた笠を外して、里を吹き抜ける風に髪を靡かせる。昔に比べれば大分髪も伸びたな、今では腰の辺りにまである。

「火影様! それに扉間様!」
「おや、カガミ君。扉間を探していたのかい?」
「お二人を、です! 火の国の大名からの鷹便が届いて、なんでも例の件で話がしたいとか……」
「『例の件』?」

 この間扉間の小隊に編成されたばかりのうちはカガミ君が、木陰で顔を向き合わせている私達の姿を見つけて走り寄って来る。

 訝し気に眉根を寄せた扉間に小さく笑って抱きつけば、驚いた様に皆が私達を見やる。

「な、何をするんですか!? あね、兄上!」
「んー、別に。愛しいなぁ……と思って」

 ぎゅ、と一度力を込めて、扉間から離れる。
 そうした後子供達三人も抱きしめれば、扉間が疲れた様に溜め息を吐いた。

「……私がいなくなった後の、木の葉を頼むよ」

 それぞれの耳元で小さく囁けば、三人の内の誰かが息を飲んだ様な気がした。

「火影様、今のって……」
「んー、何でも無い! 名残惜しいけど、そろそろ戻るよ」

 『火』と書かれた笠を扉間の頭に被せて踵を返せば、扉間がどこか狼狽した表情を作る。
 そんな顔しないでよ。遅かれ早かれ、いずれ来ると言う事は分かっていたんだろ?

 ――――自由になった髪を風に遊ばせながら、火影邸を目指した。

*****

 道行く人々と挨拶を交わして、慣れ親しんだ火影邸へと入る。
 大名からの手紙に返書をしたためて、ミトと一緒に午後の一服をする。

 ミトはとても綺麗になった。
 幼い頃の妖精の様な可憐さは、今では成熟した大人の女性の優雅な雰囲気に。
 そして彼女の纏う落ち着いた空気は、羽衣の様に彼女を包んで誰をも魅了させる。

「ミト。お前さ、結婚したい人がいるか?」
「は、柱間様……!?」

 真っ赤になったミトの顔はそれ自体が
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