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対決!!天本博士対クラウン
第三百三話

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                  第三百三話  ゆとり
「さて、皆さん」
「今日はですね」
 先生達のおっとりとした言葉がまた来た。
「この紅茶をです」
「魔法で淹れるようになりましょう」
「それでいいんですか?」
 六人のリーダーである梨花がいぶかしむ顔で問い返した。
「今それで」
「何か駄目ですか?」
「問題がありますか?」
「あの、今は」
 梨花にしろである。博士のことが念頭にある。それで心中穏やかでおられずどうしてもこう問い返しざるを得なかったのである。
「大変なんですけれど」
「そうですか?」
「大変ではありませんよ」
 ところがだった。先生達は至って呑気な調子で返してきた。
「いつも通りすればです」
「問題ありませんよ」
「そうかしら」
「かなり疑問なんだけれど」
 美樹と赤音もだ。悠長な顔をしてはいなかった。それどころかそんなことを言う先生達を見ながら途方に暮れようとさえしていた。
「博士がまた暴れてるしね」
「余計にね」
「音楽ならまだわかるけれど」
 おっとりとしている春奈でもだった。今は流石にそういうわけにはいかなかった。彼女にしても今回ばかりは事情が違っていた。
「それでも。お茶なんて」
「何かあるのかしら」
「ちょっと。私にも」
 美奈子も怪訝な顔で華奈子に返す。
「今回は」
「そう思えないのね」
「お茶飲んでいいのかしら」
 美奈子はこうさえ言った。
「この状況で」
「早く何とかしないといけないのに」
 華奈子もかなり焦っていた。できれば今すぐに飛び出して博士を止めたい、そう思って仕方がなかった。だが今はそんな動きはとてもなかった。
「どうしてなのかしら」
「このゆとりは」
「ちょっと」
「さて、皆さん」
 狼狽し困惑する六人に今田先生の声がかけられた。
「紅茶だけでなく抹茶もありますからね」
「勉強しましょう」
 今日子先生も言ってくる。本当に先生達はいつものおっとりとした調子だ。
「それでは」
「はじめますよ」
 こうしてだった。六人はそのおっとりとした穏やかな授業を受けた。そうして紅茶、それに抹茶を魔法で淹れる勉強をしたのだった。


第三百三話   完


              2010・7・27
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