暁 〜小説投稿サイト〜
対決!!天本博士対クラウン
第二百九十五話

[8]前話 [2]次話

                第二百九十五話  切った首は
 全てが終わるとだった。博士は平然として言った。
「三十じゃな」
「三十人も殺しましたね」
「ほんの三十人じゃな」
 博士にとってはそれだけの数は何でもないものだった。
「思ったより少なかったのう」6
「殺人犯でこれだけ殺したら記録なんですが」
「そんな数はいちいち気にしていられるか」
「そうなんですか」
「わしの殺した数なんぞ一万や二万じゃきかん」
 はっきりと言い切ったのであった。
「だからじゃ」
「三十人なんて今更ですか」
「たった三十人じゃ」
 またこう言うのであった。
「何でもないじゃろ」
「わかりました」
 小田切君はまだ釈然としなかった。しかしそれでも博士のその言葉に頷くことにした。博士にはそんなことは本当に些細なことだからだ。
「じゃあこの三十人の首と身体は」
「勿論あれに使う」
 実に素っ気無く言った博士だった。
「わかっておるな」
「わかりたくないけれどわかります」
 小田切君はいつもの言葉を出した。
「そういうことですね」
「そういうことじゃ。それではじゃ」
「改造ですね」
「首がないまま動く身体と空を飛ぶ生首じゃ」
 博士はそれに執着していた。
「それをやるぞ」
「はい、それじゃあ」
「既にものさえあればすぐにできるようにしておる」
 博士の言葉はここでも素っ気無い。
「さて、それではじゃ」
「僕はその間は」
「適当に掃除なり食べ物を買っておいてくれ」
 それだけでいいというのだ。
「わしはこれから芸術に専念するからじゃ」
「芸術だったんですか」
「殺人も芸術だし改造手術も芸術じゃよ」
 そうした世の中で絶対に許されないことをである。博士は芸術と称しているのだ。まさにマッドサイエンティストに相応しい言葉である。
 そしてだ。小田切君が暫く待っているとであった。
 研究所の地下からだ。まずは生首の団体が飛んできた。
 小田切君はそれを見てだ。まずは表情を消した。44
 そしてだ。タロとライゾウに対して言う。
「また来るね」
「そうだね」
「相変わらず趣味が悪いな」
 二匹も呆れていた。そして首の次は身体が来るのであった。こうして日本での不気味な騒動が続くのであった。博士の悪事は続く。


第二百九十五話   完


               2010・6・5
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ