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対決!!天本博士対クラウン
第二百七十九話

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                第二百七十九話  博士のお菓子
「さて、小田切君よ」
「今度は何ですか?」
 どうにも不穏な気配のやり取りである。
「お腹が空いてはおらんか」
「ああ、もう三時ですね」
「三時といえばじゃ」
 博士は当然のような口調で言ってきた。
「一つしかないな。そうじゃな」
「おやつですね」
「うむ、それじゃ」
 まさにそうだという口調であった。
「おやつじゃが」
「ドーナツがありますよ」
 小田切君はすぐにそれがあると告げた。
「じゃあ今から食べますか」
「ふむ、ドーナツか」
「お嫌いですか?嫌いなものはなかったのでは」
「好きじゃ」
 それは事実だと返す。
「ドーナツは好きじゃ」
「じゃあそれでいいですよね」
「いや、それでも問題がある」
 こうも言うのであった。
「それでもじゃ」
「問題といいますと」
「ドーナツといっても色々じゃ。何があるのじゃ?」
「オールドファッションにエンゼルショコラに。まあ十種類はありますよ」
「随分と多いな」
「僕が好きなんで」
 何と小田切君はドーナツが好きだったのだ。ここではじめてわかる彼の好物だった。
「それで色々と買っておいたんですけれど」
「ふむ、ならばよい」
 博士はここまで聞いて満足した顔で頷いた。そしてそのうえで言うのであった。
「それならばな」
「それで何を食べるんですか?」
「まあ出してみてくれ」
 話はそれからだという。
「見てみたくなった」
「それで決めるんですね」
「飲み物はコーヒーじゃ」
 しかし飲み物はもう決めていた。
「それで頼む」
「わかりました。じゃあそれで」
「コーヒーは外せん」
 博士はこだわりも見せた。
「だからじゃ。それでよいな」
「ええ。豆は何ですか?」
「キリマンジャロじゃな」
「わかりました」
 そんな話をしてからおやつにかかる。博士のこだわりが見えるやり取りであった。


第二百七十九話   完


                 2010・4・10
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