暁 〜小説投稿サイト〜
対決!!天本博士対クラウン
第二百七十四話

[8]前話 [2]次話

                 第二百七十四話  ジェミニ
「ねえ華奈子」
「何?」
 二人並んで構えに入りながらだ。華奈子は美奈子の言葉に応えていた。
「私達生まれた時同じだったわよね」
「そうよ。双子だから」
 そしてこう言葉を返した。
「生まれた時から一緒だったわよね」
「それに血液型もね」
「それもね」
 これも同じなのだった。そして同じものはそれだけではなかった。
「それと身長も体重も」
「スリーサイズもね」
 とにかく全てが同じであり一緒なのだ。二人を見分けるには実は髪型以外にはこれといって決め手はなかったりする。両親ですら見間違う程だ。
「全部一緒よね」
「そうよね、本当に全部ね」
「そして」
 美奈子はさらに言ってきた。
「これからもずっと一緒よ」
「勿論よ。あたし達の絆は絶対に誰にも引き離せないから」
「最後もね」
 美奈子の言葉がさらに強くなった。そうしてだ。
「死ぬ時も一緒よ」
「死ぬ時もなのね」
「そうよ、死ぬ時も一緒だから」
 このことを強く言うのである。まるでそれが口にすれば現実のものとなるかのようにだ。こういうのである。
「いいわよね、それで」
「当たり前でしょ。あたし達は双子よ」
 華奈子の言葉も美奈子の考えを完全に受け入れているものだ。
「何があってもね。死ぬ時だって一緒よ」
「じゃあわかるわよね」
「ええ」
 構えているのも息が合っている。まるで鏡の様に一緒である。
「魔法だってね」
「そうよね。魔法も音楽もね」
「一緒よ」
 まさにそうだというのだ。
「だから今だって。当然じゃない」
「有り難う、本当にね」
「御礼はいいわよ」
 美奈子の声が微笑んでいる。優しげですらある。
「それはね」
「いいの?それは」
「いいわよ。とはいっても私も華奈子に御礼言ったりするけれどね」
「ふふふ、そうね」
「けれどそれもね。お互いに思ってるからよね」
「そうよね」
 ここでもお互いの心を確かめ合ってだ。いよいよ。
「それで美奈子、わかってる?」
「華奈子のことなら何でもわかるわよ」
「そうよね。あたしだってそうだし」
 こうして二人で魔法に入る。美奈子はまだ何も聞いていなかった。しかしそれでもそれが嘘であるかの様に動きはぴったりと合っていた。


第二百七十四話   完


                     2010・3・23
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ