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対決!!天本博士対クラウン
第二百五十二話

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               第二百五十二話  諦める博士
 ガメオは動かなくなった。それを見たライゾウとタロがまず言う。
「折角の最新鋭がよ」
「動かなくなったよね」
「うん、完全にね」
 それに小田切君も続く。
「動かなくなったよね」
「博士、これってまずいんじゃないのか?」
「折角最新型を造ったのにいきなり負けたんじゃ」
「それでもありのままですか?」
 小田切君も問うとだった。しかし博士は言うのだった。
「これも有り得ることじゃ」
「有り得ることですか」
「勝敗は戦いの常じゃ」
 落ち着いた顔で言う博士だった。それだけだった。
「敗れるのも当然のことじゃ」
「そうですか。それだけですか」
「負けたらより新しい強いものを製造するだけじゃ」
 博士にとってはまさにそれだけだった。さばさばとさえしていた。
「さて、それではじゃ」
「新しいものをまた造るんですね」
「あのガメオは試験作じゃよ」
「だから平気なんですね」
「偉大なものを造るには失敗は付き物じゃ」
 今度はこんなことも言う博士であった。やはり何ともなかった。
「さて、では」
「ひょっとして今からですか」
「造るとしよう」
 博士はすぐに後ろに下がった。そうして己の研究室に篭ろうとするのであった。
 小田切君はその博士の後姿に声をかけた。
「それで博士」
「アシスタントはいらんぞ」
「いえ、あのガメオのプロトタイプはどうするんですか?」
「回収するよ」
 これも何とでもなく返す博士だった。
「それから造るからのう」
「それでなんですか」
「三日程でできる」
「三日で、ですか?」
「そうじゃ。三日あれば充分じゃ」
 実に素っ気無い返答だった。後ろを振り向くことはない。
「それではじゃ。また会おう」
「じゃあ僕は暫くここで見張りですか」
「八時に来て五時に帰ればいい」
 それだけであった。
「研究室にいるだけでいいからのう」
「わかりました。それじゃあ」
「小田切君、暫くは気楽に過ごそうぜ」
「ゲームでもしながらね」
 ライゾウとタロが小田切君に声をかけてきた。
「仲良く過ごそうぜ」
「それでいいよね」
「うん、それじゃあ」
 小田切君も微笑んでそれに返す。騒動は何とか終わったのであった。次の騒動までの息抜きでしかないにしてもである。


第二百五十二話   完


                  2010・1・4
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