第二百六話
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第二百六話 研究所で見えるもの
「さて、と」
「研究所に着いたけれど」
皆影が見ているものを脳裏に思い浮かべながら述べる。
「何が出て来るかしらね」
「それが問題ね」
「どうせとんでもないものよ」
華奈子はそれは確信していた。
「あの博士がやることだから」
「そうよねえ。何かさ」
赤音はぼやいたように述べた。
「蛇が一杯見えない?」
「見えるわ」
美樹が少し嫌そうな顔になっていた。
「百匹とか千匹じゃないわよね。これって」
「一万匹はいるわ」
梨花は言葉だけは冷静だったが顔は顰めさせていた。流石に誰でもそれだけの数の蛇を見れば気持ちいいものではなかった。だからである。
「これはね」
「一万どころじゃないかも」
「もっといてもおかしくないわ」
美奈子と春奈も暗い顔になっていた。
「しかも。何あれ」
「嫌なものが見えるわね」
華奈子と美奈子もまた思いきり暗い顔になっていってきている。
「蛇が骸骨さんの周りにうじゃうじゃ集まっているわよね」
「側に鉄パイプもあるし」
そして改造してありマフラーがこれでもかという程付いているバイクが転がっている。一体どういった連中がどうなったのかよくわかるものだった。
「暴走族の人達が、よね」
「蛇の餌かしら」
「相変わらず残虐非道なのね」
華奈子は呆れ果てた声を出さざるを得なかった。
「あの博士は」
「そうみたいね。さて、と」
華奈子もまた博士の非道に呆れながらもそれでも言うのだった。
「それはいいとしてよ」
「ええ。とりあえず外は全部観たわよね」
「中も見てみない?」
こう華奈子と皆に提案するのだった。
「中もね。どう?」
「中もなの」
「ほら。今まで博士の研究所は見たことなかったじゃない」
美奈子はこのことを皆に話す。
「外見は今も含めて何度も見てるけれど中身はね」
「そういえばそうね」
華奈子は美奈子のその言葉に対して頷いた。
「じゃあ影だしここは思い切って」
「そうするといいと思うわ」
美奈子もまた思い切った声だった。
「いきましょう。いいわね」
「ええ、いいわ」
華奈子が皆を代表して頷いた。こうして今彼女達はその影を研究所の中に潜入させようとするのだった。
第二百六話 完
2009・6・30
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