第百八十六話
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第百八十六話 こちらだった
ボートはとりあえずピエールとジュリエッタの方にゆっくりと向かった。すると暫くして二匹の方から戻って来たのだった。そしてその後ろには。
「あれっ、皆何でボートに?」
「って美樹ちゃんだったね」
「ええ、そうね」
皆彼女を認めてそのうえで頷き合うのだった。
「どちらかと思ったけれど美樹ちゃんだったの」
「っていうかここで潜水してたの?」
「そうだけれど」
皆が何でそれを知っているのかわからずきょとんとなる美樹だった。
「何でそれわかったの?おまけに梨花ちゃんの使い魔までいるし」
「これは私が召喚したのよ」
「そうなんです」
「ですから御気になさらずに」
こう述べるその使い魔達であった。
そのうえで使い魔達はまるで煙のように梨花の杖の中に入ってそのうえで消えた。美樹はそれを見届けてから暫くぼうっとしていたがその彼女に美奈子が声をかけてきた。
「まずあがって」
「あっ、そうね」
美奈子の今の言葉に応えてボートにあがる美樹だった。これで五人目だった。
「ここでいいのね。オール持って」
「ええ、御願い」
「とりあえず梨花ちゃんの使い魔のことはわかったけれど」
華奈子の横につきつつ言う美樹だった。
「ただ。気になるのは」
「どうして潜水しているのかわかったってことよね」
「そうそう、それよそれよ」
美奈子に顔を向けて述べるのだった。
「何でわかったのよ」
「笛で」
ここで自分の笛を出す美奈子だった。
「これでわかったの」
「笛っていうと」
美樹は笛と聞いてすぐに考える顔になった。そうしてそのうえで言うのだった。
「あれ?音で?」
「やっぱりわかってくれたわね」
美樹の今の返事に微笑む美奈子だった。
「それの跳ね返りでね。レーダーというかソナーでね」
「成程ね」
美奈子の話を聞いて納得した顔で微笑む美樹だった。彼女はわかっているのだった。
「そういうことならね。わかるわ」
「ええ。それで潜水してるってわかったのよ」
「音はやっぱりそういう時便利ね」
「そうなのよ。おかげで助かるわ」
笑顔で言い合う二人だった。華奈子はそんな美奈子を見てふと呟いた。
「あたしの魔法でも似たようなことできるかしら」
「無理じゃないの?火と音じゃ全然違うから」
「ううん、とりあえず考えてみるわ」
赤音にはこう返す。何はともあれ五人目も見つかった。そうして最後の一人である春奈を探しに今再び漕ぎ出すのだった。その最後の一人に向かって。
第百八十六話 完
2009・4・20
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