第百八十二話
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第百八十二話 どうしていたのか
四人目になった梨花もボートに乗った。今度は華奈子が両手で漕ぎだした。残った梨花は赤音の隣の席についてそこで右側を担当して漕ぎだした。その中で美奈子が彼女に問うのだった。
「ところでね」
「何?」
「どうしてジャングルの中にいたの?」
彼女が尋ねるのはこのことだった。梨花も半ズボンの水着でその色は緑であった。
「あの時。何かあったの?」
「ううん、ジャングルの中ってアスレチックになってるじゃない」
「ええ」
このプールはただジャングルがあるのではなくそこはアスレチックになっているのだ。そこでも楽しめるというわけなのである。
「そこに入ってたのよ」
「暗い中でアスレチック!?」
赤音はそれを聞いて思わず声をあげた。
「それって危なくない?」
「いいえ、別に」
しかし梨花はそれはないと答えた。
「それはないわよ」
「本当!?」
「大丈夫よ。暗がりの時はそういう危ないのは使えないから」
こう答えるのだった。
「だからね。特に危なくはないのよ」
「そうだったの」
「蛸壺の中に入ってそこをロープで出ていたのよ」
それをしていたというのだ。
「後はね。あの浮き石を跳びながらお池を進んだり」
「それね」
華奈子はそれを聞いて笑顔になった。
「あれも面白いわよね」
「そういうのしてたのよ。そうしたら向こうから光が見えて」
「ああ、それこの光」
赤音が今もボートの周りを飛び回っている光を指差して言った。
「これだから」
「そうよね。それを見てね」
梨花はまた述べた。
「そうしたら華奈子が見つけて」
「それでだったの」
「驚いたわよ」
華奈子に顔を向けて少し苦笑いだった。
「いきなり声出したし」
「だって見つけたから」
しかし当の華奈子はそれについてこう思っているだけであった。
「だからだったんだけれど」
「まあそれでも。皆と合流できたからいいかしら」
そんな華奈子を観てこれ以上言うのは止めたのだった。
「それでね」
「それでいいのね」
「一人だとやっぱりあまり面白くないのよ」
梨花は美奈子に答えながら首を少し捻った。
「何でも皆と一緒の方がね」
「そうよね。じゃあ残るは二人」
華奈子は明るく両手でボートを漕ぎながら言った。
「張り切って見つけましょう」
こうしてさらに先を進む一行だった。四人になった彼女達はさらに明るくなっていた。
第百八十二話 完
2009・4・5
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