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真・恋姫†無双    これはひとりの仙人無双
人の子は上位に手を出すべからず
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込む戦法をとったのだったが、その時に受けた矢の数が多すぎたのか、血が大量に失われており、途中からは動きにキレがなくなっていった。
そして、ふらついたところを狙われて、左目を矢に穿たれてしまった。
対する青年の方も、ボロボロである。
突っ込まれるたびに引っ掛けられ、アスファルトに叩きつけられたり、腕を切られたりしていた。
まだ戦えるとは言っても、体に鞭を打って動かしているようなものである。
ナイフも既に10本持ってきたうちの9本が砕け散っている。
「そろそろ終幕か・・・・」
矢も全て使い切ってしまった。
あと残っているのは腰の打神鞭と、袖の中のナイフ、そして摩耗した弓。
勝つためには・・・・・・、策はある。
失敗すれば最悪だが、うまくやればなんとかなるか・・・・。
「ラスト一本、終結と行くか」
彼が少しぶれつつある視界で狼を捉えたとき、それは彼に向かって駆け出していた。
右袖の中のナイフを口でくわえて、腰の打神鞭を右手に。左手には摩耗した愛弓を構えた。
完全にあの攻撃を回避することなど既に不可能。いくらキレがないといっても未だに速さは健在。
だから一撃で仕留めるためには・・・・・。
狼はその口を大きく開き、青年に向けて飛びかかる。
それに対し、彼は一抹の恐怖を感じることもなく右手を突き出すようにしながら左にずれる。
が、突き出していた右腕はその牙を回避することができずにただただ口の中へと吸い込まれていった。
狼の牙は鋭く、一撃で彼の右腕を食いちぎる。
頭の中は激痛で真っ白になりかけるが、この隙を逃したらもはや彼に勝ち目はなかった。
一瞬とはいえ、右腕を食いちぎるときに青年の体重も引っ張ったために狼の速度は落ちていた。右腕を食いちぎられた彼は、拘束がなくフリーである。
力を振り絞り、目の前の駆け抜けようとする狼の横腹に蹴りを叩き込んだ。
狼とて、既に満身創痍だった。
突然の横からの衝撃によって横に吹き飛ばされるように転がっていく。
アスファルトに叩きつけられることとなり、体が多少麻痺してしまっていた。
青年は、先のない右肩から流れる血の多さのせいか、顔を青くしながらもゆっくりと狼の方へと歩いていく。
そして、たどり着いた時に狼の頭の上に弓を置いた。そして、左足でそれを押さえると、今度は左手で口に持っていたナイフを矢のように弓の弦につがえていた。
「これで、終わりだ・・・・・」
ドスッ
鈍い音と共に、ナイフは狼の脳天に突き刺さり、脳髄を貫いた。
血が水たまりのように周囲に広がり、少しずつ、脳の一部のようなものも垂れていた。
「俺も、みたいだけどな・・・・」
青年はありえない幻想的な狼の上に力尽きて倒れた。


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