第百十話
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第百十話 ゴールに
こうして同じ道を通らずに先に進めるようになった一行。それにより遂にゴールが見えてきた。見れば大きな英語でGOALと書かれた看板がある出口である。
「間違いないわね」
「そうね」
美奈子が華奈子の言葉に頷く。
「というかどう見てもゴールにしか見えないわね」
「そのままね」
美奈子もまた華奈子の言葉に頷くのだった。
「けれど。長かったわね」
「ええ、本当に」
今度は華奈子が美奈子の言葉に頷く。さっきと完全に正反対になっている。
「そのわりには疲れていないけれどね」
「お団子のおかげね」
美奈子は言う。
「そのおかげでね。疲れていなくて済んだわ」
「ええ。それじゃあ最後は」
「あそこを通り抜けて終わりね」
「だから。行きましょう」
華奈子は美奈子だけでなく他のメンバーにも声をかけた。
「一体何日かかったかわからないけれど」
「さて、それはどうでしょうか」
しかし小百合先生はここでまたにこりと笑っている。何か思いきり含んでいる様子である。
「それは」
「それは?何かあるんですか?」
「それはゴールしてのお楽しみです」
先生は語ろうとしない。笑ったままで。
「ですから。どうぞ」
「どうぞですか」
「これで終わりなんですね」
「はい、完全に終わりです」
美奈子と華奈子に対してまた答える。
「元の世界にです」
「やっと、ですね」
華奈子は先生の言葉を聞いてまた言う。
「それを思うと」
「はい、それでは皆さん」36
先生はその笑顔で六人とその使い魔達に告げる。
「最後の最後まで気を引き締めて行きましょう」
「わかりました」
華奈子が先生のその言葉に応えた。
「それじゃあ最後の最後まで気合を入れて」
「そうね。はい」
ここで美奈子はお団子を出すのだった。
「これ食べて。ゴールまで行きましょう」
「兜の緒を締めよってわけね」
「ええ、その通りよ。だからね」
「食べて力をつけて」
「そういうこと」
皆にまたお団子を配ってそれを食べながらゴールを潜る。ゴールを潜ると。一行はようやく長い長い迷宮という試練をクリアーしたのだった。
第百十話 完
2008・5・16
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