第百九話
[8]前話 [2]次話
第百九話 大きな前進
歩き続ける一行。しかしその中でふと華奈子が言うのだった。
「ねえ」
「どうしたの、華奈子」
「考えたんだけれど、あたし」
「考えた?何を?」
美奈子が彼女に問うていた。
「ええ。同じ場所ばかり堂々巡りになってるかも知れないじゃない」
「確かにね。それはね」
美奈子も他のメンバーもそれは否定できなかった。言われてみればその可能性はあるのだ。
「だから。それを防ぐ為にも」
「どうするの?」
「目印をつけましょう」
こう提案してきた。
「壁にでも何か書いてね」
「それを目印にするのね」
「これだと前に来たってわかるじゃない」
また言ってきた。
「だから。どう?」
「そうね」
美奈子もそれに同意した。そのうえで頷く。
「いいわね、それって」
「悪くないでしょ」
「ええ、いいと思うわ」
あらためて華奈子の言葉に対して頷く美奈子だった。
「それでね」
「他の皆はどうかしら」
「私はそれでいいと思うわ」
「いいじゃないか」
春奈と美樹がまず賛成してきた。
「私も賛成」
「そうね。それだと堂々巡りはなくなるわね」
続いて赤音と梨花も。それに応えて頷いてみせてきた。六人の意見は一致していた。
「これで決まりだけれど。先生」
「いいことですね」
小百合先生も賛成してくれた。ここでもそのにこりとした笑みを見せてきてくれた。
「それは」
「じゃあそれでいいんですね」
「魔女はただ魔法を使うだけじゃないんですよ」
「魔法を使うだけじゃない」
「はい。頭を使うことも大事なのです」
その微笑みでの言葉であった。
「ですから」
「いいんですね」
「魔法も大事ですけれど」
先生はそこを強調する。
「頭もですよ」
「そうなんですか」
「ですから。合格です」
先生はまた言ってきた。
「ではどうぞ。それで」
「わかりました。それじゃあ」
こうして六人は目印をつけつつ迷路を進んでいくことにした。それは効果を奏し同じ道を通らなくなった。まずは一つ大きな前進だった。
第百九話 完
2008・5・16
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ