第百七話
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第百七話 歩いていこう
六体のモンスターを倒した華奈子達。今はただひたすら迷宮を進んでいる。しかし行けども行けども迷宮に終わりがない。途方もないものだった。
「何かおかしくない?」
「そうね」
美奈子が華奈子のその言葉に頷く。
「何か何時まで経ってもね」
「辿り着けないわね、終わりに」
二人は次第にそのことに気付きだしたのだ。他のメンバーもまた同じだ。
「そもそもここってどれだけ広いの?」
「さあ」
言われてもわからない。首を傾げるだけだ。
「わからないわね。何処まであるか」
「もう化け物は出ないわよね」
「多分ね」
華奈子が美奈子の言葉に答える。
「確信はないけれど」
「出ませんよ」
二人がこんな話をしていると後ろから小百合先生がにこりと笑って告げてきた。
「それは安心して下さい」
「出ないんですか」
「はい」
またにこりとした笑みで述べる。
「さっきも言わせて頂きましたが後はゴールに辿り着くだけですよ」
「それだけですよね」
「はい。それだけです」
やはり返事は同じだった。辿り着くだけだった。
「ですから。安心して下さい」
「敵がいないのはいいけれど」
まずはそれを聞いて安心する一行だった。
「このまま歩いていたらお腹空くわね。疲れるし」
華奈子はそれを心配していた。
「どうしたものかしら」
「お弁当あるじゃない」
美奈子がその華奈子に言う。
「ちゃんと」
「あっ、そうだったわね」
言われてそのことに気付く華奈子だった。
「あったわね、そういえば」
「それにお団子もあるし」
さっきのお団子である。体力と魔力を回復させる。それを考えれば色々とあるのだった。
「豊富よ、食べ物は」
「そう。じゃあ大丈夫ね」
「後は歩くだけね」
美奈子はまた答える。
「だから最後は絶対に辿り着けるから」
「そう。それじゃあ」
華奈子はそれを聞いてまずは安心した。そのうえで顔を上げて言った。
「歩こう。最後までね」
「そうね。そうすれば最後は絶対にね」
「辿り着けるわよ」
「ゴールにね」
それがわかれば後は歩くだけだった。実際に彼女達は歩き続けることにした。何処までも何処までも。ただひたすら歩くのだった。
第百七話 完
2008・5・7
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