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木の葉芽吹きて大樹為す
青葉時代・終末の谷編<後編>
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…」

 どうして――届かない。

 そう呟かれ、息を飲む。
 すぐ近くに居る筈なのに、私達の間には大きな溝がある錯覚を覚えてしまう。

「マダ……!」

 マダラの体が大きく揺らぐ。
 一瞬だけ、複雑な感情を示した赤い瞳が私の物と交錯して。

 敵だとか、さっきまで殺し合っていたとかなんて頭の中には無かったから、思わず――手を伸ばす。
 
 ほんの一瞬だけ、互いの指先が触れ合った様な気がしたが、それも一瞬だけの事。
 ――私が見つめる中、彼の体は崖の下へと落ちていく。

 伸ばした手もそのままに、私の体はその場に崩れ落ちる。
 瞼が落ち、意識が闇に包まれ――……そうして私の意識は外界から断絶した。



 遠くで、小鳥が鳴いている――ああ、朝が来ていたのかと薄れいく意識の中でそんな関係の無い事を考えた。
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