第百五話 敵軍の歌姫、蒼き流星
[6/20]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ナタルがその名を聞いて驚きの声をあげる。
「まさかザフト最高評議会議長シーゲル=クラインの娘の」
「御父様のこと、御存知なのですか?」
ラクスはナタルに何気なく返事を返した。
「やはり」
「それじゃあ」
「そしてこちらが御友達のハロですわ」
「ハロハロ」
ラクスはにこりと笑ってハロを手で指し示した。
「マイドー」
「宜しくお願いしますね」
「う、うむ」
さしものナタルも思わぬ客に戸惑いを見せていた。どうしていいかわからなかった。
「とりあえず部屋に案内するか」
「部屋に」
「まさかとは思うが」
ムウはナタルに囁いた。
「コーディネイターだから問答無用、って考えてないよな」
「それは・・・・・・」
チラリと考えたのは事実だ。それが人道的にどうだとしても。だがムウはそれを制止したのであった。
「とりあえずは保護しておくんだ、相手は一般市民だしな」
「一般市民・・・・・・」
「そうだ、コーディネイターでもな。それを忘れるんじゃねえぞ」
「・・・・・・了解です」
ナタルは思い詰めた顔でそれに頷いた。自分が何を思っていたのかそれで思い知らされた。苦い思いであった。
「じゃあキラ」
「はい」
キラに声をかけた。
「空いている部屋に案内してやってくれ、いいな」
「わかりました。じゃあラクスさん」
「はい」
ラクスはにこにことしている。
「こちらへ。御部屋に案内します」
「有り難うございます」
「まあ暫くはこれでいいさ」
ムウはキラとラクスの背を見送って言った。
「軟禁ってやつだな。体のいい」
「軟禁ですか」
「そうさ。まあとんでもない御客さんなのは変わらないがな」
「このままオービットまで行けばことでしょうか」
「まっ、洒落にはならないな」
ムウはそう言葉を返した。
「下手をしなくても外交問題だ」
「やはり」
「今それをここで言っても仕方ないがな。とりあえずは軟禁ってことでいいだろう」
「わかりました」
結局はナタルも一般市民の命を無下にすることは出来なかった。彼女はそこまで冷徹になれなかったし、また倫理があった。だからこそ結局はムウの言葉に頷くのであった。
ラクスは部屋に案内された。暫くして食事も持って来た。
「食事、ここに置いておきますね」
テーブルの上にトレイを置く。
「後で下げに来ますから。他にも御用件があればインターフォンで」
「有り難うございます」
ラクスはまずはキラに礼を述べた。
「けど。外に出てはいけませんの?」
「ええ、ここは連邦軍の軍艦ですし」
キラはそれに申し訳なさそうに答えた。
「コーディネイターのことも。よく思っていない人もいますから」
「そうですの。けど」
「けど?」
「貴方は親切にして下さりますのね」
「僕も、同じですから
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ