第百五話 敵軍の歌姫、蒼き流星
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霊団が向かっていたという報告が入った」
「慰霊団が」
「そうだ。そこにはラクス=クライン嬢がいた」
その名を聞いたアスランの目がピクリと動いた。
「そして彼女がそこでの戦闘に巻き込まれ行方不明になったのだ」
「なっ」
「デブリ帯にはあの連邦軍の新型戦艦も向かっている。ことは急を急ぐ」
「それでは」
「そうだ、君にはここで主役になってもらいたい」
クルーゼはあえてこうアスランに言った。
「彼女の婚約者としてな。いいか」
「・・・・・・・・・」
「我々が行かなくては話にならないのだ。そして」
彼はさらに言う。
「君がいなくてはな」
「彼女を助け、ヒーローのように戻れということですか?」
アスランはクルーゼに問うた。
「若しくはその亡骸を号泣しながら抱いて戻れ、か」
「・・・・・・・・・」
「どちらにしろ君が行かなくては話にならんとお考えなのさ」
「それは誰が?」
「君の御父上だ」
「父が・・・・・・」
「そう、ザラ国防長官は。これでわかったな」
クルーゼはまたアスランに言った。
「これは政治でもある。戦争は政治の一手段だ。だからこそ」
「私もまた。政治的に使われると」
「そう嘆くことはない。割り切ることしかない話だからな」
「はい」
その言葉には納得するしかなかった。戦争と政治のことは叩き込まれている。彼もまた部下を率いる将校としての待遇を受けているからである。
「そのうえで言う話だ。いいな」
「わかりました」
アスランは敬礼する。クルーゼはそれを見てまずは満足して頷いた。
「よし。それでだ」
「はい」
話は別の内容になった。今度はアスランに問うものであった。
「先のヘリオポリスでの戦闘だがシン=アスカから報告があった」
「何と」
「君はあの戦闘ではあまり積極的に戦闘に参加しなかったそうだが」
「それは・・・・・・」
アスランはハッとしてそれについての説明をはじめた。
「思いがけぬ事態がありまして」
「思いがけぬ事態」
「そうです。あのガンダム、ストライクに乗っているパイロットですが」
「そのパイロットがどうかしたのか?」
「キラ=ヤマト。私の月の幼年学校での友人でした」
「友人か」
「そして・・・・・・コーディネイターでした。我々の同胞です」
「成程、そういうことがあったのか」
クルーゼはそれを聞いてまずはまた頷いた。
「君らしからぬ行動だと思ったが」
「申し訳ありません、報告が遅れました」
アスランは弁明した。
「すぐに報告書にして」
「いや、それはいい」
だがクルーゼはそれはよしとした。
「敵のパイロットにコーディネイターがいるとなれば厄介な話になるからな。今は政治的な事情もあって伏せたい」
「左様ですか」
「だが、これだけは肝に銘じておきた
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