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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#51 "Members of Lagoon & Co."
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物運んで、悪党どもから金を受け取る。
そんな毎日の繰り返しだろ?

後は何だ?
荒事に巻き込まれて悪党どもをブチ殺す事くらいか。
そんな糞つまんねえ毎日を過ごすのがアンタのお望みって訳か?ああ?

………アタシはそんなもんゴメンだね。
第一アンタもアタシもこの街に暮らしてる連中は、どいつもこいつも一緒なんじゃねえのかよ。
生きる事も死ぬ事も大した問題じゃねえ。
墓石の下で眠ってるか、上で踊ってるかの違いがあるだけだろう?
だったらトコトン踊りゃあいいじゃねえか。
ジルバのリズムにでも乗ってよ。
少なくともゼロの野郎はそう思ってる筈だぜ。

ダッチ。

アンタには世話になってきた。
迷惑ばかり掛けてきちまった。
貸しよりも借りの方がはるかにデケえ。

それでも、だ。

アンタがアタシの邪魔するってんなら。
どうしてもアタシのやる事を認めねえってんなら。アタシはラグーン商会を………

「あっ?」

商会の事務所が入ってるビル近くまで来た時、遠目にもう見慣れちまったスーツ姿が階段を降りてくるのが見えた。

ロックの奴か……
アタシのいる方とは反対側へと歩いていく同僚に特に言葉は掛けなかった。
別に話す用も無かったし、出掛けるってんならそれはそれで都合がいい。
ダッチとの話はどういう風に転がっていくかは分からねえ。
込み入った話になるようなら、やっぱ他の人間には居て欲しくねえしな………

そんな事を考えながら、事務所へと向かっていたその時だった。

ラグーン商会の事務所があるビルの三階。その窓が爆音と煙と炎。そしてガラスの破片を撒き散らしたのは。

「くっ……」

とっさにカトラスを抜き道路脇へと退避し、銃を顔の前で構えながら周囲の気配を探る。

………襲ってくる野郎はいねえ。取り敢えず今んところは。

少し目を上げて事務所の様子を確認する。
窓からはまだ煙が噴き出してやがるが、それ以上の爆発はなさそうだった。

爆弾?
何でウチの事務所が?
ガキ共の仕業か?
ダッチは無事なのかよ?
ベニーも居たんじゃねえだろうな?

頭ん中でグルグルと言葉が回る。
その時のアタシには何故か爆発の直前(・・・・・・・・)に事務所から出てきたロックの事を気にする余裕なんざ持てるはずもなかった………













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