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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#51 "Members of Lagoon & Co."
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多分、を張り付けたまま椅子に腰を下ろす。
それに合わせるように僕も用意されていた椅子に浅く腰掛ける。
椅子その物は上等なものなのだろうが、とても深く味わう気分ではなかった。
まあ、こんな状況で堂々としていられるなんて、
「ゼロ。あの男について聞きたい事がある」
「!」
脊柱に冷たい氷を入れられたような気分、とでも言えば良いのだろうか。
身体の奥底から震えが来るようだった。
ちょうどゼロの事を考えていたから心の中を覗き込まれたような、という訳ではない。
ゼロ。その名前を聞き、顔を上げてしまった僕が真正面から覗き込んでしまったからだ。
ああ……あれは駄目だ。 あれは見てはいけない。
あれは僕みたいな脇役が見て良いものじゃない。
ゼロ。ゼロ。君は今どこにいるんだい………
この場に相応しいのは君のような男だよ。
あんなものを見て、尚平静でいられるのは君くらいしかいないよ。
バラライカの、
火傷顔
(
フライ・フェイス
)
の冷たい炎を宿した眼を正面から受け止めきれる男なんて………
Side レヴィ
「………」
アタシは事務所へと向かう道を、一人ダラダラ歩いてた。
街の空気はいつもと変わんねえ。
適当にひりついて、適当に弛んでる。
『ジャックポット』でローワンから情報を受け取ったアタシらは、店の前で一旦別れた。 ゼロの野郎は襲撃犯、まだ
面
(
つら
)
は拝んじゃいねえけど、の情報を探りにまた別の場所へと向かうらしい。
アタシは一度事務所に出向いて、ダッチと話をする事にした。
ウチのボスが何を言って来るかってのは正直予想がつかねえ。
いつもだったら呆れながらも、アタシのやりたいようにやらせてくれるんだろうけどな。 確か連絡会は今日、下手すりゃ今頃か、開かれてる筈だ。
その結果次第じゃ洒落や冗談抜きで、この街が火の海に変わるかもしれねえってわけだ。 姉御の決断一つでな。
「っと……」
懐から煙草を取り出し、一本に火を点ける。
そのまま煙を
燻
(
くゆ
)
らせながら街を往く。
ダッチが言いてえのは身の程を弁えろって事だろ。
ホテル・モスクワ
(
姉御んとこ
)
や
三合会
(
旦那んとこ
)
。
コーザ・ノストラ
(
イタ公共
)
にカルテル。
デケエ組織だけでも四つ。
細けえとこも含めりゃ、結構な数の組織がゴチャゴチャと絡み合っているわけだ。
この街じゃあな。
んな中で、アタシ一人で何が出来るんだって事だわな。たった二挺のカトラスだけで。
だけどよ、ダッチ。
何が出来るのか、なんざどうでも良いことなんじゃねえのか。
そんなもん言い出したらアタシらは普段一体何が出来てるってんだよ。
海の上をボートで荷
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