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久遠の神話
第二話 銀髪の美女その五

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「本当に迷いそうよ」
「大丈夫だよ」
 だが彼は笑顔でこう彼女に返した。
「それもね」
「大丈夫なの?」
「大学のことは知ってるし」
 だからだというのだ。
「何処に何があるのかね」
「大学によく行くの?」
「部活のランニングコースだから」
「ああ、それでなの」
「そう、それでね」
 道は知っているというのだ。
「広いからね。ランニングコースに向いてるから」
「だから知ってるの」
「そう。大学のことは結構詳しいよ」
「じゃあ道案内お願いできる?」
「だから行ったんだけれど」
「わかったわ。それじゃあ」
「それで行く場所は?」
 上城が尋ねるとだ。樹里はすぐにここだと答えた。
「弓道部の道場よ」
「そこにいるんだ」
「それかアーチェリー部の練習場か」
「あっ、隣同士だよその二つの場所って」
「隣同士なの」
「そう、だからどっちに行くにしてもね」
 どうかというのだ。
「そのどっちにもね」
「行けるのね」
「そう、行けるから」
 便利だというのだ。
「じゃあどっちにしてもその銀月さんはそこにいるから」
「行きましょう」
 こうした話をしてだった。二人は。
 まずはその弓道場に向かった。そこに行くと。
 的に向かってだ。白い上着に濃紺の男女が弓を次々に放っていた。床は和風の木のものでありそこからだ。狙いを定めて放っていた。
 それを見てだ。樹里はまずこう言った。
「弓道の服って」
「稽古着だね」
「あれって剣道のとはまた違うのね」
「うん、違うよ」
 その通りだとだ。上城も答える。
「剣道着は弓道のよりも厚いんだ」
「生地が違うのね」
「うん。ただ剣道着も白はあるけれどね」
「女の子が着るあれね」
「そうだよ。ただ弓道も」
 見ればだ。上下共に濃紺の者もいた。それは。
「男の人はそうだよね」
「紺色の人もいるわね」
「まあ。最近は柔道着も色のがあるし」
 所謂カラーの柔道着だ。国際試合等で着る。
「こうしたところは寛容になってるね」
「何か女の人でも紺色の人いるわね」
「そうだよね。とにかくね」
「ここにいるのかしら」
 樹里は首を捻りながら周囲を見回して話した。
「その銀月さんは」
「髪の毛が銀色だったよね」
「そう。それもかなり奇麗な」
 そうした髪の毛だというのだ。
「そうした髪だっていうけれど」
「じゃあすぐにわかるよね」
「何処にいるのかしら」
 樹里はまた周囲を見回す。その中でだ。
 樹里はだ。その彼女を見つけたのだった。
「あっ」
「いたの?」
「あの人じゃないの?」
 上城は道場に入って来た白い上着と袴のその人を見て樹里に話した。
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