第九十五話 クワサンの鎧
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今度は直線状の衝撃波を放つ。しかしそれは凱の跳躍でかわされた。
「遅いっ!」
そしてナイフでロゼを斬ろうとする。だが彼女はそこで姿を消した。
「ムッ!?」
「動きはいいが私の術をまだ知らないか」
「どういうことだ!」
「それは・・・・・・」
着地した後ろから声がした。
「こういうことだ」
後ろにロゼが現われた。そして攻撃を仕掛けようとする。
「覚悟しろ、勇者王!」
「させるかあっ!」
だが凱の動きの方が速かった。彼はすぐに振り向き攻撃に移っていた。
「トオッ!」
拳を突き出す。それはロゼの腹を撃った。
「グッ!」
その美しい口から血を吐き出す。かなりのダメージであることがわかる。
「今度は効いた筈だな」
「流石だ・・・・・・だが」
それでもロゼは立っていた。
「私を倒すには・・・・・・まだ不充分だ」
「まだやるというのか!」
「そうだ。ここで退くつもりはない」
「クッ、敵ながら何て執念だ」
「凱隊長!」
だがここでボルフォッグが声をかけてきた。
「どうした!?」
「バルマーの兵士は全て倒しました。これで残っているのは」
「そうか、この女だけか」
「助太刀しましょうか」
「おうよ、一気にやってやろうぜ!」
「いや、それはいい」
だが凱は隊員達のその申し出を断った。
「宜しいのですか?」
「ああ。この決着は俺自身の手で着ける。ロゼ!」
「ムッ!」
「覚悟しろ!貴様はここで俺が倒す!」
「ならば・・・・・・私もこの術の全てを見せよう」
ロゼもまた構えを取った。
「死ね、勇者王!」
「倒れろ、ロゼ!」
二人はまた撃ち合おうとする。だがここでロゼは何かを感じた。
「ムッ!?」
脳裏に何かを。そしてそこに焦眉の急を悟った。
「獅子王凱、この勝負は預けるわ」
「どういうことだ」
「それを言う必要はない。だが貴様との決着は必ず着ける」
「退くというのか」
「一時だけのこと。だが覚えておけ」
ロゼは凛とした声で言い放った。
「御前も地球も必ずバルマーの、マーグ様の軍門に下る。それを忘れるな」
そう言い残して凱の前から消えた。こうしてこの場での戦いは一先は終わった。
「行きましたね」
「ああ」
凱は闇竜の言葉に応えた。
「手強い相手だった」
「凱隊長をあそこまで苦戦させるとは」
「かなり手強い相手よね」
光竜も言った。
「そうだな。だが俺は敗れるわけにはいかない」
しかし凱の気迫は誰にも止められなかった。
「バルマー帝国も。必ず倒す、いいな」
「はあい」
「わかりました、隊長」
この場での戦いは終わった。だがもう一つの戦いは今も続いていた。
通路でタケルとマーグが激しい攻防を繰り広げていた。二人は空中を舞い、その衝撃波を互いに放っていた。
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