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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#49 "every girl is an eternal lover for ……"
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しは落ち着いたんだが、まあそれも今朝限りまでだ。
子供を持つなんて考えた事もない。
一応言っとけば世界の何処にも俺の子供なんて居ない、はずだ。もし居たら」
そこまで話したところで舌を止めた。
頬のあたりに強烈な視線を感じたからだ。
視線の主は足さえ止めて俺に意志をぶつけてくる。早く続きを話せ、と。
「………もし俺の知らないところで俺の子供がいるのだとしたら、そのまま生きていって欲しいものだ。
間違っても親父に会おうなどと思わずに」
「ガキは嫌いなのか。それともただ邪魔なだけか」
間髪入れずに次の質問が飛んでくる。
アーモンド形の彼女の眼がいつも以上に鋭くなっているような気がするのは、さて俺の気のせいだろうか。
「特段嫌いでもない。
邪魔というなら俺こそ相手の人生にとっての邪魔者だろう。
第一、子供には父親なんて大して必要じゃないさ」
視界の端でレヴィの瞳が僅かに揺れた気がした。
ああ、なるほど。
コイツが引っ掛かってたのは……
「子供にとって父親ってのは乗り越えるべき対象だそうだ。
まあ、男と女じゃ違うのかな?
だけど世界ってやつは敵に満ち溢れてるもんだろ。大小様々取り混ぜてな。
だから父親なんぞ居なくても何とかなるよ。
子供に父親が必要だ、なんて言説は男共が造り上げた幻想でしかない。
男は生きる理由を探すのに必死だからな。
弱き者 汝の名は男なり、さ」
風向きが変わったか、レヴィの銜える煙草の煙が此方に届いた。
埃混じりの風が運ぶ紫煙は優しく俺の頬を掠めながら、空へと拡散してゆく。
俺の言葉も同様に大気へと消えていったのかもしれない。
彼女の唇が再び俺のために開かれる事は無かったからな。
『ジャックポット』はもう目の前まで近付いて来ていた………
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