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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#49 "every girl is an eternal lover for ……"
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かっていった。
狭い部屋の中にはアタシと"あれ"の二人だけ。
それはいつもと同じように。
昨日がそうであるように全く等しく。
だから"あれ"は気付かない。アタシを見ようともしないから気付かない。
アタシがいつもと違う事に。
アタシの服がいつもと違う事に。
アタシのシャツが内側から膨らんでいる事に。
今朝手に入れたばかりの"銃"がアタシのシャツを内側から膨らませている事に。
"あれ"は気付かない。
そんな事はどうでもいいから。
"あれ"は気付かない。
アタシがゆっくり近付いても。
"あれ"は気付かない。
シャツをめくって銃を取り出しても。
"あれ"は気付かない。
枕が消音器の変わりになる事をアタシが知っている事にも。
"あれ"は気付かない。
アタシがどんだけ"アンタ"をぶち殺したいと思っていたかって事にも。
気付かない。 気付かない。 気付かない。
気付いてやしない。
だって、
そんな事はどうでもいいから。
"アンタ"はそんな事はどうでもよかったんだ。
"アンタ"にとっちゃあ、毎日酒が飲めるかどうかってのが大事で。
他の事なんざどうでもよかったんだ。
アタシがどこで何してようがどうでもよかったんだ。
自分の×××だなんて思っちゃいなかったんだ。
だから、 だから、 だから、アタシはアンタを×××んだ。
アンタを×××たんだ。
アンタの顔に枕を被せて、その上から銃を押し付けて………
Side ゼロ
レヴィのやつは唐突に黙り込んでしまった。
足だけは止めずにいるようだが、全く心ここにあらずといった趣だ。
銜
(
くわ
)
えた煙草から立ち上る煙が、彼女の特徴的な眼にかかろうとも気にもしていない。
珍しいと言えば珍しい、か。
横目で彼女の様子を確認しながら、特に俺は声を掛けるような真似はしなかった。
今はその必要もないだろう。
レヴィにはレヴィの事情があるのだろうし、な。
人間生きてりゃ考える事なんて山のようにある。
緊急を要する事案。
それほどでもない事案。
人生に関わる重大な決断。
愚にもつかない妄念。
現在のロアナプラと未来のロアナプラ。
過去の味方と未来の敵。
悩む事と考える事に決定的な違いはあるのだろうか。
人生は走り続けるものか。
時に立ち止まる事もあり、か。まあ、そのあたりをいろいろと。
彼女はやりたいようにやるのだろうし、俺もそれで良いと言った。
あの船で彼女と向かい合ったあの時に。
銃を突き付けられながら、言葉を交わしたあの瞬間に。
身体に僅かな震えが走る。
自然と拳が握られ力が籠る。
脊柱の中を電流が走るような錯覚。
脳内に滲み出す苦味を伴う記憶。
さすがに忘れられんよなあ……
頭を軽く振って気
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