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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#49 "every girl is an eternal lover for ……"
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シは自由にやるのが似合ってるってな」
そう言ってから煙を大きく吐き出す。
見上げたロアナプラの空はいつも通りムカつく程のいい天気だな……
「まあ、そこまで言われちゃ俺には何も言えんな。
精々ダッチへの言い訳でも考えておけ。
なんなら土産にアスピリンでも持っていってやれ。俺はもう事務所には顔を出せんからな」
横目で確認したゼロの表情からは、大した意味は読み取れなかった。
別に読み取る気も無えけどな。
野郎同士の意地の張り合いなんぞ、噛み付く気にもなんねえ。
それこそ好きにやってくれりゃあいいさ。
「しかし自分で言うのもなんだが、まるっきり我が儘言うガキとそれに振り回される父親って図式かな、これは。
俺も少しは大人にならんとなあ」
「!」
ガキと、父親…父、親……
なんで、なんでこんな時に…思い出しちまうんだよ、畜生……
「陰気な
面
(
つら
)
晒してんじゃねえ!」
"あれ"はいつもみたいにそう吠えて、空になった酒瓶をアタシに向けて放り投げてくる。 俯いたまま部屋の入り口に立っていたアタシは特に避けようとも思わなかった。
そんな事はどうでもよかったから。
身動
(
みじろ
)
ぎ一つしないアタシのすぐ横を通り過ぎ、壁にぶつかる酒瓶。
床をゴロゴロと転がってゆきながら、既に先住していた仲間達と合流しようとしていく瓶になんて全く興味がなかった。
そんな事はどうでもよかったから。
アタシには床に座り込んだまま、中身の入った瓶を探している"あれ"すらどうでもよかった。
"あれ"が毎日アタシに言ってきた事も。
"あれ"が毎日アタシにしてきた事も。
"あれ"が毎日アタシにさせてきた事も。
"あれ"が忌み嫌ってるアタシのこの顔も。
"あれ"が憎んでいるアタシのこの眼も。
そんな事はどうでもよかった。
「ーー!ーーーーーーー!ーーーー」
"あれ"がなにか音を出してる。
いつも聞く度にイライラさせられる不快な音。
でも今日は気にならない。
意味のなさないノイズだから、という訳だけでもない。
第一ノイズならそれだけで不愉快だ。
デカい雑音なら尚のこと。でも、
そんな事はどうでもよかった。
そんな事はどうでもよかった。
そんな事はどうでもよかった。
ただただ、
どうでもよかったんだ、そんな事は。
アタシはゆっくりと顔を持ち上げる。"あれ"に向けて、ハッキリと。アタシの顔がよく見えるように。
「ーー!ーーーーーーー!」
また何かを吠え立てる。意味のなさないノイズを。アタシには全く届かない音の羅列。
アタシはただ"あれ"の顔を見つめた。"あれ"の
厭
(
いと
)
うアタシのこの眼で。
「ーー」
"あれ"は立ち尽くしたままのアタシに興味を無くしたか、背を向けてベッドへと向
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