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木の葉芽吹きて大樹為す
青葉時代・襲撃編<後編>
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壁に覆われるが、その隙間からは赤黒い光が染み出る。
 みしみし、と嫌な音を立てる木錠壁。
 頼むから持ちこたえてくれよと願いはするが、正面から受け止めるだけでは遅かれ早かれ力負けするのは必至。ならば……!

 木錠壁の防御の手段を真正面から受け止めるのではなく、背後へと受け流すものへと変化させる。
 そのまま攻撃を受け流し威力を少し弱めて、トランポリンの要領で遠くへと弾き飛ばそうと画策する。

 ――よし、上手くいった様だ。

 高速で回転しながら木の壁を砕こうとしていた高密度のチャクラの塊は、そのまま木錠壁を滑る様にして、背後へと、私が背にしていた崖の方へと弾き飛ばされた。

 土砂が崩れる音と遠くで水飛沫が上がった音を耳にしながら同時に印を組んで、九喇嘛の真下に何十本もの木々を生み出して一気に拘束する。
 体中を締め上げられた九喇嘛が苦悶の声を上げた。

 ……ごめん、九喇嘛。

 そのまま跳躍して、九喇嘛へと距離を詰める。
 全身を拘束する木遁を一声と共に砕いて、こちらを射すくめた九喇嘛の眼差しから目を逸らさずに、そのまま右手を朱金色の毛皮へと押し付けた。

「――火影式耳順術 廓庵入?垂手!」

 これは七尾と対峙して以来、ミトと共に作り上げた私独自の封印術。
 ミトの扱ううずまき一族の物とは違って、直接尾獣の体に触れる事で相手のチャクラを引き出して、特殊な木遁の柱にて拘束するという代物。

 ……使うのは初めてだけど、なんとか上手くいったな。流石私、本番に強いや。

 自画自賛して、必死に自分を鼓舞する。
 取り敢えずこの最悪コンビを解消させないと、このままじゃ確実に死ぬ。

 棘の生えた木遁の柱が、九喇嘛の巨体を覆って行く。
 九本の尾は花が花弁を閉ざす様に、九喇嘛の体を包んだ。

「少し、そこで眠っててくれ。――っと!」
「させるか!!」

 鎌を大きく振りかぶって来るマダラ。
 それを見据えたまま片手印を組んで腕を樹木へと変化させ、マダラの四肢を締め上げる。

「大樹林の術、解!」
「何を……! ――ぐっ!?」

 締め上げたまま近くまで引き寄せ、咄嗟には空中で身動きが取れない事を見越して、大樹林の術を解く。
 目を見張ったマダラの腹に手を押し当て、叫んだ。

「――契約封印の術! これでお前は九尾を操れない!!」
「柱間、貴様ぁ……!」

 怒りと殺意に満ちた赤い瞳。

 ――さぁ、これからが正念場だ。
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