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木の葉芽吹きて大樹為す
青葉時代・襲撃編<前編>
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その場にいた誰もが息を飲む。
 木の葉に所属していた者であれば――あいつのことを見紛う者はいない。

「……うちは、マダラ?」
「とう、りょう……」

 なんで、あいつが私に向かって火球を飛ばす?
 誰かが呟き、その場にいた人々が食い入る様に人影を見つめる。その中には、うちはの人達もいて。

「――――何をしている、九尾。最強の尾獣と言うのも名前だけか」

 誰もが息を飲んで成り行きを見守るしかなかった。身動き一つでもすればこの悪夢が現実になりかねない、そんな雰囲気を軽々と崩して人影は――マダラは憮然とした声を上げる。

『グオオオォォオッ!!』

 マダラの万華鏡が不吉に輝き、それに呼応する様に里から離れた所で九喇嘛の雄叫びが上がる。
 それが意味する事は則ち――――。

「気を付けて下さい、兄上! マダラは九尾を……!」

 遠くで扉間が叫んでいる。その意味する事に気付き、私は腰を低く落とした。

「そうだ。――この目で、オレは九尾を手懐けた……と言っていいだろうな」
「……一応、聞いておこうか。何のためにそんな事をした、うちはマダラ?」

 思っていた以上に固い声が、自分の口より漏れる。
 それを聞いたマダラが酷薄な微笑みを浮かべる。
 かつて戦場でよく浮かべていた不敵な笑みではない――どこまでも暗く陰鬱な、歪んだ笑み。
 それを目の当たりにして、戦慄が背中を走る。

 赤い目が私を、木の葉を見据えながら、淡々とした声を響き渡らせる。
 以前に名乗りを受けた時と同じ様で、その声は全く違う響きを宿していた。

「――無論、木の葉と貴様に対しての恨みを晴らすために――……オレはここに復讐者として還って来た」
「……本気で、巫山戯るな」

 ――――私の怒りが混じった声音にも、奴は鬱蒼と微笑んだだけだった。
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