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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
chapter 05 : beginning of the end
#48 "Roanapur summit"
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張の奴は何を考えてやがんだか、少し俯き加減に黙ったままだ。

へっへへへへへへへ。
そうだ。黙ったままでいろ。
テメエら馬鹿にゃ思い付かねえ解決策ってやつを俺がくれてやる。

くっくくくくくくくくくくく。
これぞ素晴らしき解決策だ。バラライカ相手に喰らわせてやる餌を俺が用意してやる。

けっけけけけけけけけけ。

かっかかかかかかかかか。

うへへへへへへへへへへ。

笑いが止まらねえ。気に入らねえ連中の鼻を明かしてやる最高のチャンスだ。

「いいか。バラライカ相手にくれてやろうや。
アイツが欲しくて欲しくてたまらねえ上等の餌をよ。そうすりゃ俺らは安泰だぜ」

「………あ、あのよ」

アブレーゴが何か話そうとするのを片手で遮る。
へっ。慌てんじゃねえよ。
お前らにも喰らわせてやるさ。"真犯人"って餌をな。

「分かってるさ。
誰が犯人なのかってんだろ?
いるじゃねえか。この街にゃあ一人。
バラライカ相手にだって平気で喧嘩売りかねねえ。
一体何考えてんだか分かんねえ。
この街の事にやたら詳しい、不気味でムカつく飛びっきりの糞野郎がよ」

見てろよ。これで一発逆転だぜ………














【11月3日 PM1:33】

[連絡会会場より退出後12分経過]

Side バラライカ

「ボリス。客人は?」

「はっ。既に到着したとの連絡を受けました。
大尉殿(カピターン)のお帰りをお待ちいただいております」

「そうか。大事な客人だ。粗相のないようにせよ」

そう告げて、私は懐のシガーケースから葉巻を取り出した。
唇にくわえると同時に差し出されるのはオイルライター。
副官(ボリス)により先端に灯された火はゆっくりと内部に熱を染み渡らせ、やがて車内には柔らかい紫煙が立ち昇ってゆく。
事務所へと向かう車の後部座席。
私はシートに背を預けながら薄く目を細める。
葉巻特有の強い香りに包まれながら、私が考えているのはこれからの事。

先般まで行われていた連絡会などはもう私の記憶領域の奥底へと沈んでいた。
私の発言で彼等がどう動くか。
それは彼等の問題であって私の問題ではない。
もし彼等が連合してホテル・モスクワ(私と私の部下達)と戦おうというなら、それはそれで構わない。
必ずしも私の望む戦いではないが、この街は私の望むべき戦場ではある。
私の前に立ち塞がるというなら、排除して殲滅するだけ。

そう、ただそれだけの事。

車窓には流れてゆくロアナプラの街並みが映し出されている。
市街戦は好みではないがそれもやむ無し。
まあ、あくまで彼等が望むならだが
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