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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
chapter 05 : beginning of the end
#48 "Roanapur summit"
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ハッタリに決まってる!
ほ、本気でやらかすわけねえ!
お、俺達ん中に黒幕がいるだあ?んな訳ねえだろうがよ!」

クソッ!クソッ!クソッ!ふざけんじゃねえぞ!
あんの腐れアマ何考えてやがる!戦争だあ?
この街はテメエの遊び場じゃねえんだぞ、クソッタレが。

俺は歯を食いしばりながら部屋の出口を睨みつける。
イカれた戦争狂のロシア女は部下を引き連れてとっくに出て行っちまった。
俺らが引き留めたにも関わらず、だ。
戦争の準備でもしようってのかよ。
畜生………
何でこうなっちまうんだ、糞!

「バラライカはよお……
やるつったらやる女だよな。
ハッタリかますような奴ならまだ楽なんだけどよお……
張、本国で何かあったって事はねえか。バラライカが決断するような」

アブレーゴが張の野郎に話し掛ける。
糞っ!呑気な連中が。
何とかしなきゃいけねえ。
あの糞アマが自棄起こす前にだ。考えろ、何か手がある筈だ。何か、何か……

「……俺の方には情報は来てない。
ただホテル・モスクワにとってもこの街は重要な意味を持っている筈だ。
そう簡単に焼き払えるものでもない。
バラライカのさっきのアレは額面通りに受け取るべきではないだろう」

ホテル・モスクワにとって!
組織にとっちゃあ確かに重要な土地なんだろうけどよ。
あのアマは本当にそんなもん気に掛けんのかよ!
もしかしたら本当に本国で何かあったんじゃねえのか。
それで何もかもぶっ壊すつもりにでもなったんじゃねえのか。
くそっ! 俺はテメエらとは違うんだよ!
頭ん中がウォッカと弾薬漬けになってやがる、テメエらイカれ連中とは違うんだよ!
パレルモの親分衆がどれだけこのチンケな街を気にしてると思ってやがる!

だから俺はわざわざ……

「い、言っとくけどよ。
俺ゃあ今回の件は本当に無関係なんだ。
バラライカがどう考えてるかは分からねえが、本当に関係ねえんだ。
アンタだってそうだろ?こんな事やらかすような奴じゃねえよな、アンタは。
………なあ。
アンタから説得しちゃくれねえか。
この街でバラライカとタメで口きけるなんざ、アンタくれえのもんだ。
さっきのがハッタリじゃねえとしても、何かバラライカに考えがあるのは確かだろ。
とにかく一度話をしてみてくれねえか。
向こうだって聞く耳持たねえってつもりはないんじゃねえかな。
それだったら今日の連絡会だって来なかったと思うんだ」

アブレーゴの野郎は相変わらず、張とぐちゃぐちゃ話してやがる。
あんな細い目をグラサンで隠してる中国人(チンク)野郎なんぞに何が出来るってんだ! 俺が何とかしなきゃいけねえ。
誰も頼りになんねえ。
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