暁 〜小説投稿サイト〜
チートだと思ったら・・・・・・
五話
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つもの光が戻る。よかった、本当によかった。

「健二、大丈夫?」

「あ、あ……?」

カランカラン、と槍が地面を転がる音があたりに響き、俺は明日菜にもたれかかってしまう。どうやら、身体が限界にちかいらしい。

「どうしたの?」

「悪い、ちょっと無理したせいで……身体が」

「もう、しょうがないわね。支えててあげるから、休みなさい」

「ああ……あり、がと、う……」

意識が闇に包まれるなか、強い光の衝突が視界をかすめた。



「ん……」

重い瞼を押し上げる。直接目に入ってくる陽の光に眉をしかめる。眩しい……とんでもなく眩しい。この時期に、何故こんなにも日差しが強いのか? それは一重に……

「起キタカ? マァ、トリアエズ死ンドケ」

「チャチャゼロ!お前!」

エヴァンジェリンの別荘でチャチャゼロに修行をつけてもらっているからに他ならない。





「ケケケ、トリアエズハコレデ勘弁シテヤル」

「三回程、三途の川を渡りかけたぞ」

修業後、満身創痍な俺と意気揚々なチャチャゼロのやり取りも、もう慣れた。別荘を使っての修行のため、それなりに長い期間指導してもらっているのだ。それも当然か。しかし、あの頃はこんなことになるとは思わなかった。

「一時間タッタラ再開ダ。セイゼイ休ンドケ」

「言われなくてもそうするよ」

ゴロリ、と背中を放り投げ、俺は事の始まりを思い出していた。



「ここ、は……」

目を覚ますと、見慣れない光景が広がっていた。どうやら自分は石台のようなものにシーツを敷き、その上に寝させられていたようだ。

「誰かいないのか!? ……ん?」

とりあえず声を張り上げてみたものの、返事はない。自分から誰かを探すべきか……そう思い立ち上がった所でふと気付いた。足が……痛くない?

「どういうことだ?」

ゲイ・ボルクに宿るクー・フーリンの戦闘経験を己に憑依させ、俺には度が過ぎるほどのスピードを出したせいで、俺の足の筋肉はズタズタになっていたはずだ。短期間で治ろうはずもない怪我だが、そんなに長い時間眠っていたという気も全くしない。現状では理解できない、と思考を止めた時、部屋のドアが控えめにノックされた。

「失礼します。マスターがお呼びですので、差し支えなければ一緒に来て頂きたいのですが」

「あ、ああ。問題ない」

入ってきたのは茶々丸だった。まだ明日菜に切り落とされた腕は修理されておらず、まだそう日がたってないであろうことを確認できた。こうして、俺は茶々丸に連れられエヴァンジェリンの元へと向かうことになった。



「ふん、ようやく起きたか」

最初に言われたのは、そんな言葉だった。椅子にふんぞり返る
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