五話
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「カモ君!?」
事態の把握できない僕はどうやら何か知っている様子のカモ君の名を呼ぶ。それだけで、どうやらカモ君は察してくれたらしく、説明をしてくれた。
「アレはアーティファクトっつって、仮契約者に与えられる専用のアイテムだ! けどオレっちはそんなこと説明してねぇし、何で勝手にでたかは分かんねぇ! けど。あの様子はなんだかヤバいぜ!」
僕が明日菜さんの方に振り向こうとすると同時に、明日菜さんはエヴァンジェリンさんと茶々丸さんへ向けて、凄いスピードで駆けていった。
「咸卦法、だと!?」
坊や達はアーティファクトに驚いていたようだが、私は神楽坂 明日菜を包む光に目を見張った。見まがうはずがない、あの威圧感、力強さ。間違いなく究極技法、”咸卦法”。何故あのような小娘如きがが扱えるのか……疑問は尽きないが、このまま調子づかせるわけにもいくまい。
「茶々丸!」
念のために、と茶々丸に供給する魔力を高め、迎撃に走らせた。
「明日菜?」
俺が起き上がり、周りに目をやると力強い光を身に纏う明日菜が目に入った。最初はネギから魔力を供給されているのかと思ったが、何か違和感を感じる。そして何より明日菜が手に持つ片刃の大剣。あれは明日菜のアーティファクト、”ハマノツルギ”だ。今、この時点で何故……
「とにかく、行かなきゃ」
今自分は皆より離れた場所に位置している。身体は重いが歩けないほどではない。ランニングにも満たないペースだが、しっかりと歩を進めていく。だが、何か嫌な予感がする。すると、明日菜がエヴァンジェリンと茶々丸めがけてもの凄いスピードで走りだし、茶々丸はそれを迎撃する構えをとった。そして……
――明日菜の大剣が、茶々丸の右腕を切り落とした。
「!? 投影、開始!」
深紅の槍を投影し、宿る戦闘経験をこの身に憑依させる。一時的に俺はアイルランドの光の御子、クー・フーリンに迫るスピードを持って駆けた。もっと速く気付くべきだった、今の明日菜の瞳には、およそ感情というものが見られない。俺の頭に一つの言葉が浮かぶ。”暴走”、今の明日菜にふさわしい言葉かもしれない。筋肉の千切れる音が聞こえる。だが、俺は一刻も早く明日菜を止めるために、それを無視した。
「う、おおぉぉおお!!」
勢いをそのままに、振り上げられたハマノツルギに神速の突きを放つ。茶々丸しか見据えていなかった明日菜は横から来た突きの衝撃に耐えきれず、剣を手放した。俺は明日菜の動きを封じるために、その身体を腕ごと強く抱きしめた。
「明日菜、俺は大丈夫だ。大丈夫だから」
「……ケンジ?」
「ああ、俺だ。健二だ。大丈夫、俺はここにいる」
「あ……」
呼びかけに効果があったのか、明日菜の瞳にい
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