四話
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「ケケケ、リョーカイダ御主人」
――さぁ、どこまであがけるか……見せてみろ。
「――投影、開始」
夫婦剣を破棄し、次なる武器を投影する。接近戦で勝てないことなど分かっていた。茶々丸に勝てないのにチャチャゼロに勝てるはずがないのだ。ならば、俺が選択すべきはこれしかない。何故か追撃をしかけてこないチャチャゼロを、俺はしかと見据えた。
「弓、か……」
「はい、あの時と同じものです」
思い出されるは以前の会合。その時に放たれた強力無比な必殺の矢だ。今ここで取り出すということは、それが奴の真骨頂である証と言えよう。
「チャチャゼロ、存外に楽しくなるやもしれんぞ」
「楽シクナルナラ大歓迎ダゼ」
奴が弓に矢をつがえると同時に、チャチャゼロが飛び出した。
「………………」
気を静め、自己を無くし、矢が目標を射抜くことだけをイメージする。エミヤの弓術、それを得た俺になら、出来るはずだ!
「――見えた!!」
矢を放つ。それを察知していたのか、チャチャゼロは迎撃のために獲物を既に振り上げている。だが、そんなことは……
「お見通しだ!」
「何ダト!?」
銀閃となって飛来した矢はチャチャゼロが振り上げた獲物の柄をピンポイントでとらえ、遥か遠くに弾き飛ばした。だが、まだ終わらない。敵にはまだ武器が残っている。俺は一息の間に四の矢を放った。
「オオオォォオオ!!」
チャチャゼロは侮っていた。確かに、宮内 健二と言う男の弓が脅威たりうると聞いていた。だが、銃弾入り乱れる戦場を渡り歩いたチャチャゼロは、所詮は弓と言う先入観を無意識の内に持っていた。それに、健二の実力が大したことなかったのが拍車をかけたのだ。
だが、今現在チャチャゼロはその大したことないと判断した男に武器の一つを奪われている。油断、確かにそれもあっただろう。しかし、今こうして必死になって矢を避けているのは健二の矢がじぶんを破壊たらしめると認めたからだ。故に……
「行クゼ!」
チャチャゼロは健二を、己の敵として認めた。
「づぅ……」
右の指に痛みが走る。エミヤの弓術は一息の間に十以上の矢を放つことも出来る。だが、ここでまた問題となるのが俺自身の身体だ。得たのは魔術と弓術だと知って程ない内にどの程度なら出来るかは散々試した。弓の速射は一息に四矢まで。それが俺の限界だった。
チャチャゼロは歴戦の猛者、今では放つ矢の殆どが躱され、のこりは側面を叩かれることで反らされている。その必死な様子から相手も余裕があるわけではないと分かるが、この数では今のチャチャゼロ打倒することは出来ないようだ。ならば、多少の無理は仕方ない。
「どう、だ!!」
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