三話
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で」
茶々丸が構えの様なものを取る。もう、戦いは避けられないのか……何とかして逃げられればいいが。
「私は先に帰る。適当に情報を聞き出したら帰ってこい」
背を向けて去っていくエヴンジェリン。どうやら、自分が直接手を下すつもりはないようだ。それならば、まだ可能性はある。立ち去っていくエヴンジェリンと目の前に立ちはだかる茶々丸を視界から外すことなく、脳内で簡単なシミュレーションを開始した。
「いきます」
「投影、開始!」
一足飛びに間合いへと飛び込んでくる茶々丸。そして俺は繰り出された拳を右手に投影した莫耶の腹で防いだ。下半身を重点的に強化し、その場から飛び退く。それと同時に変化の魔術を使って干将・莫耶の刃を潰す。
正直、そんな余裕があるとは自分でも思っていないが、それでも俺は茶々丸を今壊すつもりはない。
「さぁ、戦闘デビューといこうか!」
今度はコチラから仕掛ける。右手の莫耶と左手の干将を縦横無尽に走らせる。しかし、その全てを茶々丸は躱し、時には腕で防いで行く。これが、今の俺が出せる全力だ。
「ハァアアッ!」
剣から経験を引き出してもこの程度。エミヤの剣技を一割も再現できない自分の脆弱さが嫌になる。
そんな無駄な事を考えいたからか、俺は茶々丸の拳を腹部にまともにくらい、五メートル程吹き飛ばされた。
「づぅ……」
鈍い痛み。ここまで本格的に殴られたのは初めてだ。だが、ボディアーマーのおかげか、痛みは耐えられない程ではない。
「どうやら、今の俺では君に敵うべくもないらしい」
「では、話して下さるのですか?」
今この時は、茶々丸の優しさが非常に有り難い。おかげで、準備が整った。
「いや、それは断らせてもらう」
干将・莫耶を破棄し、一瞬の内に弓矢を投影する。
「!?」
それを見た茶々丸が全速力でコチラへと向かってくる。だが、まだ“瞬動”ができない茶々丸では、間に合わない。
――――矢は、放たれた。
「何とか、帰ってこれた」
俺は腫れた頬に氷水をあてて冷やしながら一息ついた。
放たれた矢、常人ならその軌跡を把握することなど叶わないであろう速度であったそれは、茶々丸に当たることなく遥か彼方へと飛んでいった。
「ぐぁっ!?」
矢を放った直後に出来た隙を茶々丸が見逃すはずもなく、鋭い右ストレートが右頬に叩き込まれた。
「つぅ!」
最初から殴られることを覚悟していた俺は、後ろに吹っ飛ばされながらもバク転の要領で起き上がる。唯一危惧していたのが追撃をしかけられることだったが、茶々丸にその様子はなく一安心だ。これで、終わる。
「何故……何故、外したのです?」
「何、君を傷つけないため
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