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【ネタ】アホの子ルイズちゃん
第六話
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。私がトリステインの姫として生を受けた以上、どんなに違うと否定しても誰もが畏まってしまう。言葉の裏に隠された真実を探ろうとしてしまう。そしてそこに何もないというのに、勝手に創り上げてしまう。………それは、責任という不可視の壁で隔たれた確執が原因です。トリステインは魔法至上主義国家であり、同時に身分に異常なこだわりを見せる傾向にあります。それは、貴族間でも変わりません。姫と一介の貴族の三女。平民からすれば同じようなものでも、そこには確かに割って入れない違いが存在している。―――どんなに友達だと思っていても、誰もが一歩引いてしまう」

「―――姫様」

サイトが呆然とした様子でアンを見つめている。

「ですが、ルイズ。貴方だけは違った。私が姫であろうとなかろうと、貴方はどこまで行っても貴方のままだった。我を捨てず、取り繕わず、誰よりも前を向いていた。そんな貴方がとても羨ましくて、近づきたくて、魔法も帝王学も世界情勢についても必至に勉強したのですよ?貴方がいなければ、私はただの飾りとして一生を終える可能性だってあった。そんな私に希望を、道を作ってくれたのは他ならない、貴方だけなのです」

アンはギリ、と表情を歪める。

「お気楽な考えで貴方の下にいるのではない。そうしなければいけないと理解した上で、貴方を頼る―――いえ、もう包み隠す必要はありませんね。貴方を利用しなければならない。一介の貴族の三女がアルビオンに行き、命を落としたところで王国関係者からは遠い以上、せいぜい莫迦な貴族が物見遊山の果てに死んだと認識される程度。名が通っているヴァリエール家ゆかりの者でも、です」

背筋を正し、真剣な表情で私達へと宣言する。

「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、並びにその使い魔よ。アンリエッタ・ド・トリステインの密命を言い渡します。アルビオン皇太子ウェールズ・テューダーに送った密書の奪還を命ずる」

「はい。その命、確かに承りまし―――」

「話は訊かせてもらった!姫殿下、是非このギーシュ・ド・グラモンにもその旅に同行を―――ひでぶっ!」

「さっきからいることはわかってたけど、まさかこのタイミングで出てくるとはね。莫迦なの?死ぬの?」

空気も読めないギーシュに水面蹴りをし、無様に倒れた背中に座り込む。

「ああ、ルイズ。そんなはしたないことをしては」

「無法者に対して接するのに作法はいりませんことよ、アン」

ついでに座り込んだ体勢でギーシュの頭を踏む。
なんか嬉しそうにしているから、もっと強く踏んでおこう。

「アン。ギーシュも旅に同行させるわね。一応の友人が処刑されるのを見過ごす程腐ってはいないつもりだし」

「え、ええ」

そんなこんなで、夜は更けて行った。


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