暁 〜小説投稿サイト〜
その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#47 "Uncle SAm"
[1/6]
[8]
前話
前書き
[1]
次
最後
[2]
次話
【11月3日 AM 11:26】
Side イディス・ブラックウォーター
「ん?この街をどう思うかって?
ふふ。
アンタも随分面白い事を聞いてくるね。
そうさねえ……
気付きゃあ、アタシも長いこと、この教会と共に年を重ねてきたからね。
まあ厭きない街ではあるよ。
昔は寂れたただの港町だったんだけど、いつの間にやらねえ。
今じゃあ全く騒々しい街になっちまったよ。
特に最近はね。
まだ例の襲撃事件も治まってないんだろ?
武器が売れんなあ良いことだけど、あまり長引くようだとね。
長い目で見りゃ損の方がでかいよ。
もっとも今一番大変なのはバラライカんとこだろうけどね。
まあ、全ては主のお与え下さった試練だよ。
その試練に抗うも素直に受け入れるのもソイツの自由なんだ。
天上におわします我らが父は慈悲深いお方さ。
どんな人生を送るもそれは全てアタシらの自由なんだよ。
これは神の御意志に背く?
こんな事をすれば罪深い?
何故人の世には貧富の差がこれ程生まれるのか?
何故不幸な子供が生まれてくる?
何故アタシらはこんな街でこんな仕事をしているのか?
笑わせてくれるよ。
主のお考えはアタシら下界の人間ごときに測りしれるもんじゃないさ。
人は己がやりたい事を好きなようにやればいいのさ。
生きたいように生きればいい。
主は何も仰られないさ。
人に罰を与えるのは所詮人だよ。
そんなところかね。
ふふ、でも本当にどうしたんだい?
いきなりそんな事を聞いてくるなんてさ。
アンタにしちゃ珍しいじゃないか。
本国から何か言われたのかい?
アンタんとこも色々大変だろうしね」
「いえ、そう言うわけでは………すいません。話を戻しましょう」
そう言って"私"は改めて姿勢を正す。
考えてみればシスター・エダとしてではなく、イディスとしてこの応接室に入るのも随分久しぶりだ。
しかし改めて思うが、やはり"私"と"あたし"の切り換えにはサングラスが一番効く。
例えこうして尼僧服を纏っていても、あの、すっかり顔に馴染んでしまった、フォックススタイルのサングラスを掛けない限り、"私"はシスター・エダではない。
バージニア州ラングレー。
ポトマック川を見下ろす尾根の上に、楓と松の木立に囲まれるようにひっそりと建てられている我が古巣。
世界の警察を自認する我が麗しの母国。
その海外に於ける重要な"目"
その目を構成する細胞の一つとして"私"はこの地にいる。
ロアナプラ唯一の教会たるリップオフ教会。
その用心棒、シスター・エダを
偽装身分
(
カヴァー
)
として。
神の家たる教会の中に設えられた応接室は、それ
[8]
前話
前書き
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ