暁 〜小説投稿サイト〜
久遠の神話
第一話 水の少年その八
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「あんまり酷いからな」
「その御前のせいだ」
 怒った声でだ。彼は言うのであった。
「御前のせいで俺はクビになったんだよ」
「俺のせいでかい?」
「そうだよ。御前のせいだ」
 完全にだ。他人のせいにする言葉だった。
「御前が俺のことを教育委員会にちくったんだな」
「全部調べてそこと警察にも通報してやったぜ」
「だからだ。俺は生徒の親から刑事告訴も受けてるんだ」
「ああ、じゃあ近く刑務所だな」
「PTAにも叩かれてクビにもなって」
「で、臭い飯か。栄転だな」
「全部御前のせいだ。御前のせいでこうなったんだ」
 まだ言う元教師だった。中田に対して喚きたてる。
「俺の人生どうするんだ。どうしてくれるんだ」
「その台詞あんたの生徒達に言うんだな」
 中田はあえて冷たくだ。元教師に言うのだった。
「あんたに虐待されていた生徒達にね」
「あいつ等が何だっていうんだ」
「あんたの生徒だろう?」
「生徒は俺の為にあるんだ。俺が部活を強くしてだ」
 それでだとだ。完全にエゴで言う。
「それで俺が評価を高めて偉くなる為に必要なんだよ」
「あの、それは」
 上城もだ。傍で聞いていてだ。
 呆れてだ。その元教師に言うのだった。
「あんまりじゃないんですか?」
「何が言いたいんだ」
「生徒を育てるのが教師ですよね」  
 その常識から元教師に問うた。怪訝な顔で。
「偉くなるために利用するって」
「生徒なんてな。教師の為にあるんだよ」
 まだ言うのだった。
「あいつ等を強くさせたら俺の評価があがるんだよ」
「だからそれは」
「五月蝿い!俺の生徒だ!」
 まだ言うのであった。
「俺が何しようと勝手だろ!」
「貴方という人は!」
「はい、ストップな」
 激昂する上城にだ。中田が言ってきた。
「これ以上話しても無駄だよ」
「無駄って」
「世の中こう言う奴もいるんだよ」
 笑いながらもだ。元教師を見据えての言葉だった。
「どうしようもない屑がな」
「けれど。これじゃあ」
「どっちみちこいつは破滅さ」
 懲戒免職、そして刑事告訴だ。そうなるのは明らかだった。
 こう言ってだ。中田は。
 元教師にだ。こうも言った。
「あんた、もう消えろ」
「何っ!?」
「大人しく裁判を受けて臭い飯食ってろ」
 これが元教師への言葉だった。
「それが一番助かる道だ」
「俺が刑務所に入るっていうのかよ」
「そうだよ、刑事告訴されて検察が受理してな」
 しかもだった。さらにだ。
「証拠も次から次に出てるんだ。それで刑務所に入らない筈ないだろ」
「俺は教師だぞ」
「元な」
「何で教育で捕まるんだよ」
「まともな教育者が刑事告訴なんかされるか」
 中田は醒めた調子で元教師に告げる。
「そう
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ