その10
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「さて。これで俺の話は終わりだ。明日から俺達は小隊として任務に就く!!」
殉職者達の慰霊碑の前で、忍びとして大切にしなくてはならない話をしてくれた後、私達を振り向いたカカシさんが笑顔でそう言いました。
その言葉に、私の胸は期待で高鳴り、高揚します。
夢にまで見た忍びとしての第一歩です。
私の夢への足がかりです。
ぞくりと全身が期待で震えました。
「これにて解散!とするつもりだったけれど、せっかくだからね。ちょっと親睦を深めておこうか」
ニコニコと笑うカカシさんに、私は首を傾げました。
親睦を深めるって、何をどうやって。
私の疑問は、発言者のカカシさん以外全員共通の疑問でした。
春野さんが間髪入れずにカカシさんに問いかけます。
「カカシ先生。親睦を深めるって、こんな所で何をどうするんですか?」
不思議そうな春野さんにカカシさんは事も無げに言いました。
「ん?ああ。ナルトの作ってきた弁当を皆で食べてから帰ろう。そろそろ昼飯の時間だしね」
その言葉に私はぎょっとしました。
忘れてました。
そういえば、そうでした。
カカシさんの裏をかいてやろうとして用意したお弁当の量に、そんな言い訳つけてたんだったっけ。
目に見えてカカシさんがご機嫌なのは、もしかして私、カカシさんに変な勘違いを与えてしまったんでしょうか。
例えば、私が仲間想いだとか。
こう見えて、カカシさん、仲間想いの熱い人です。
なんかちょっと変なフラグ立ててしまった気がします。
そんなつもりは微塵も無いので、内心、変な評価は困ります。
私、仲間想いなんかではありません。
そう言った方が納得させやすかったからああ言っただけです。
だらだらと変な汗をかいてしまいます。
「弁当を用意して来たサスケには悪いが、これは持って帰ってくれ」
「分かった」
カカシさんにお弁当を返されたサスケは飄々とした態度を崩さずに素直に頷く。
でも、実はそのお弁当も私が用意したんですけどね。
そんな事が春野さんにバレたら厄介なので言いませんけど。
でも、これだけ陽気が良いと、持ち帰っても食べれなくなってそうですよね。
後で残飯と一緒に肥料として家の畑にでも蒔きましょうか。
それとも、サスケのお家で小鳥や猫の餌付けに使おうかな。
サスケは良い顔しないだろうけど。
お腹壊したらまずいから、後でサスケに釘刺しておこう。
大丈夫だと思うけど念の為に。
「良いかな、ナルト?」
ぼんやりと考え事をしていたのに、突然カカシさんに話を振られた私は思わず無言で首を振りました。
「え、ええ。良いですよ」
私に断る理由は無いです。
せっかく作ったので、どうせなら食べられないよりは食べて貰ったほうが嬉しいですし。
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