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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#44 "anyone doesn\\'t know course of bullet"
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こともなく。
冷たい地面の上にゆっくりと倒れていった。
倒れたおじさんからはじんわりと赤い血が 流れ出てゆく。
お腹から流れ出る血と首から流れ出る血は、共に交じり合い地面を濡らしていく。

ぼくはそれを見続けていた………























【11月3日 AM 4:00】

Side シェンホア

「はあ…」

ハイヒールを脱ぎ捨て、揃える事もせず部屋に上がりこみ、リビングのソファに崩れるように座り込むわたし。
右手の甲を額に当てながら背凭れに頭を預けると、全身に鈍い疲労感を感じます。
これだけ疲れるのは修行時代以来かも……
少なくとも仕事を始めてからはちょっと覚えがありません。
勿論傷を負ってボロボロになって、逃げ帰って来たなんて事はままあるわけですが。
その時は疲労感なんて感じやしないのです。
何しろ帰って来れたという事は、命が繋がったという事ですからね。
まあ、仕事の成否によって多少の疲れや悔恨を覚える事はあっても、直ぐに気持ちを切り替えられるのです。
また、そうでなければこんなお仕事続けていけませんしね。

そういう点では今夜は実に貴重な経験をさせていただきました。
望んだわけでも求めたわけでもありませんが。
やはりこの街には来るべきではなかったんでしょうか、この魔窟には。

「今更遅いのですけどね……」

目は閉じたまま一人呟きます。
入るのは簡単でも出るのは容易ではないのですよね、魔という文字が付く場所は。

さて、明日…いやもうとっくに今日になっていますか。
今日、大兄に何をどこまで報告するかですね。
まさか有りの侭を正直に話すというわけにもいきません。

噂の襲撃犯と邂逅したはいいが、仕留められなかった事。
代わりにホテル・モスクワの構成員を私が仕留めてしまった事。
その死体をソーヤーに頼んで"始末"してもらった事。
そして"双子から受けたあの提案"の事も……

私はフリーではあると言っても張大兄の指示を頂いて動いている立場。
その私がホテル・モスクワの、というより"あの"バラライカの部下を殺したなどという事が明るみになれば……

「ふう……」

誰にとっても楽しくない結末が待っている事でしょう。
バラライカにとっても不本意なのではないでしょうか。
こんな時に三合会と矛を交えるのは。
それとも敵は増える分にはいくら増えても構わないと思うのでしょうか、かの名高き火傷顔(フライフェイス)は。

私が未だ対面の機会を得ていない女傑に思いを馳せていると、

「………」

ドアの開く音に続いて、ロットンが無言でリビングに入って来
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