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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#43 "the last order of valiant soldier"
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はかの不死身のボーヒーズ氏は一度もチェーンソーを使ったことはないのだ。
彼のお好みは(なた)だったかな?
パロディー等ではよく持たされているようだが。
チェーンソーを使う主人公はホッケーマスク、ではなく人の皮で造ったマスクを被っている。そのまんまの名前の彼だ。
いつしか混同されてしまったのだろう。
それだけチェーンソーという武器が魅力的ということなのかもしれないが)

確かに私のような細腕の女が扱うには、些か重量があるという欠点はあるのだが、まあ文句を言い出せばキリがない。
所詮世の中に完璧なものなどありはしないのだから。
大切な事は優先順位を付ける事。
あとは妥協出来る事と妥協出来ない事を明確に定めておくことなのだろう、多分。

私は"殺し屋"ではなく"始末屋"なのだ。
そこを履き違えてしまえば痛い目を見る。そんな風に私は思っている。
この街に居着くようになってからずっと。そして、それは今も。

そう、こうしてシェンホアと二人並んで、ロットンと二人の子供達が黙ったまま見つめ合っているのを離れたところから、ただ見ている今この時も。

さっきまでロットンは何処かの国の言葉で二人に話し掛けていたようなのだが、 今は三人とも沈黙を保っている。
彼の言葉そのものが理解出来なかったのか、話の内容が理解出来なかったのか、私達には何とも判断しかねるところなのだが。

しかしこの状況はどうしたものか。
シェンホアは何だかぐったりしてしまっているし、あちらの三人は誰も口を開こうとはしていない。
私としてはあくまでシェンホアとロットンのサポートのつもりでここまで来たので、積極的に場に介入するつもりはないのだが……

何とも言えない、まんじりとした空気を破ったのは意外な人物だった。
その人物は私達五人の内の誰でもない。
彼は唐突にこの場に現れた。
少なくとも私達にとっては唐突だった。
何しろ私もシェンホアも視界にこそ入ってはいたが気にも留めていなかったのだ。
店の前に止められていた車の存在など。

「うおおおおおおおおおおおおおお」

車の後部座席のドアが開き、男が一人叫びながら飛び出して来る。手には拳銃、か。

「カピターーーーーーーーーーン!!」

両手で握られた銃口の向かう先は子供達。

さながら映画の殺人鬼のように突然この場に現れた彼は、誰にも邪魔されることなく狙う相手に向けて引き金を引いたのだった………























【11月3日 AM 2:30】

Side セルゲイ・サハロフ

「俺は遊撃隊の一員……パブロヴナ大尉の部下なんだ……しっかりしろ、意識を保て…セルゲイ
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