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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#42 "the queen of empty sky"
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いものだ。
結局アイツだって自分がやりたいからやっているんだ、間違いなく。
「ってこたあよ。あの二人って今頃街を彷徨てんのかもしれねえな」
レヴィが手に持った缶を揺らしながら呟く。
行動を促してくるような響きはない。
今夜は動かないという俺の言葉を尊重してくれるらしい。
相棒から信頼されるのは中々気持ちのいいものだ。
あの二人にはこんな信頼関係は生まれているのかな?
シェンホアとロットンの関係を想像してみると……
………信頼関係というか何というか、どうにも表現しづらい関係だな、あの二人は。
取り敢えずシェンホアが、さぞ苦労している事だけは確実なんだろうがなあ。
窓から夜のロアナプラを見下ろす。
今のところ街は平和だな。爆発騒ぎなどは起こっていないらしい。
やはり本格的な動きは明日以降か……
しかしロットンと双子が出会ったとしたらどんな話をするんだろうな?
シェンホアには悪いが、出来ればその場にいてじっくり聞かせてもらいたいものだ。
かの"魔術師"があの子供達を見てどう思うのか、どう感じるのか、どう触れるのか。
全く興味の尽きない男だ、離れて見ている立場からは余計にな。
【11月3日 AM 2:28】
Side 魔術師に興味を持たれた二人
「あれ? おにいさんもぼくたちの言葉を話せるんだ」
「へえ 珍しいわね」
近付いてきたおにいさんはわたしたちと同じ言葉で話し掛けてきた。
まさかこの街で聞くなんて思わなかったな。
にいさま以外の人の口から。
「言語とはその源を訪ねれば始まりの一に辿り着く。
後はそこから派生していったものだ。
人が皆その心の裡に同じものを持つように、俺はただその源に触れた事があるだけだ。
大したことじゃない」
おにいさんは淡々と話す。
濃い色のサングラスを掛けているけど、夜にあんなものしてて見づらくないのかなあ。
おにいさんは淡々と話す。人は皆心に同じものをもつ、か。
どうしてそんな事が言えるの?
おにいさんは神様じゃないんでしょ。だって神様なんてこの世界にいないんだから。
「幼子よ、俺は君達に問いたい。月は」
そこで一旦言葉を切り、おにいさんは空を見上げる。
星が散りばめられるように輝いているこの街の夜空を。
おにいさんは空を、いえお月様を見上げているのね、きっと。
わたしたちに何も語ってはくれない、あの冷たく輝くお空の女王様を。
「君達に何かを語り掛けたのか?
俺は彼女の言葉を聞いたことはない。
彼女は孤高にして天上で気高く美しく輝く残酷な女神だ。
地を這う俺達がどれだけ恋い焦がれ、どれだけ慕おう
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