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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#42 "the queen of empty sky"
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関係者を、しかもホテル・モスクワの縄張り内で害するような振る舞いに及べばどうなるか。
この街の始末屋がさぞ喜ぶことでしょう。有力な商売敵を自分の手で"始末"出来るんですから。
正に一挙両得でありますね。
「下手ヲ……スれバ…私達が…襲撃犯扱い…ネ」
ソーヤーが無表情なまま暗い未来を呟きます。
(実際には呟きというには声が大き過ぎるのですが、そこはまあ雰囲気ですね)
確かにその危険性もありました。
見る人間が見れば傷跡などから使った武器が今までの襲撃犯とは違うという事に気付くでしょう。
ですが、今の街の状況はそんな呑気な事を言っていられるようなものではありません。
ほんの僅かな契機さえあれば、一挙に動き出す事となるでしょう、街全体が。
「………」
前方の二人は変わらず喋り続けてます。全く此方を気にすることもなく。
彼等が襲撃犯である確率は五分五分、いや六対四で正解だと見ております。
いくらこの街が尋常ではないとは言え、あの二人の纏う雰囲気はやはり異質です。
銃を持つ子供、血の匂いのする子供など私達の世界では珍しくもありません。
が、"あそこまで血の匂いを纏いながら、あれだけ綺麗に笑える子供"など滅多にお目に掛かれるものではありません。
「ソーヤー、もしもの時は……」
「うちデ…始末…させ…テ…モラウわ…」
こんなときに"始末屋"ソーヤーが同伴してくれた事は天に感謝するべきかもしれません。
彼女ならあの二人の身体全てをこの地上から見事消し去ってくれるでしょう。
死体さえ無ければ私達に疑いが掛かる危険性はかなり低くなります。
ここであの二人を見逃すよりは……
口元に小さな笑いが浮かび、闘争の予感に喜悦が全身を走り出します。
では私としては、あまりあの二人を細切れに斬り刻み過ぎないように気を付けると致しましょうか。
後で回収するのが大変でしょうからね。
私愛用の柳葉刀は研ぎもしっかり済ませて準備は万端、何の問題もありません。
「ロットン、私が仕掛けるね。援護を……」
いよいよ覚悟を決め、刀を握り締めます。
さっきから一言も語らずにいた相棒に声を掛け、タイミングを図らんと……
「なっ!ロットン!」
ちらと横目で確認した後、思い切り首を捻って叫んでしまいました。
ロットンの馬鹿は一体何を考えているのか、銃を抜こうともせず悠々たる歩調で二人に向かって歩き出すではありませんか!
銃遣いが前に出てどうしますか!
「ロットン!何してるね!指示は……」
「俺は子供は殺さない」
なっ……
立ち止まりもせず、少しだけ振り向いて発せられた彼の言葉に私は絶句しました。
甘い男だとは思っていましたけど、まさかこん
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