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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#41 "I shall have to accept darkness. because……"
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はもう少しこのお店のお掃除をしていくわ にいさま」

そう言ってわたしたちは微笑みを交わす。
全く同じ笑顔を浮かべて同じ感情を共有する。
今までずっとそうしてきたように。あの時もあの場所でもそうしてきたように。

「ぐ、ぐぐ……」

にいさまは床に倒れていたおじさんの襟首を掴み、引き摺りながら店の外へと向かう。
あのおじさんもさっきまでは中々元気だったように見えたのだけど。
お仲間のおじさんに会わせてあげたら、あっという間に落ち込んでいっちゃった。
死んでた事がショックだったのかしら、或いは目玉が無い事に驚いたのかしら……

脇に銃を抱えながら店内を奥へと進む。
生き残った人間が居ないか確認しておこう、と思ったのだけど特に問題はないみたい。
みんな確かに死んでいるようだわ。
にいさまが念入りに殺してくれたのかしら?

わたしは撃つ時に一々狙いなどつけない。
ただばら蒔くように撃つことにしてる。
昔は銃なんて持たせてもらえなかったから分からなかったのだけれど、銃を撃つというのは中々楽しい行為だわ。
鈍器や刃物で直接相手の肉体に触れるというのも勿論楽しいのだけれど、銃で撃たれた人達が舞い踊るように倒れていくのを見るのも結構楽しいのよね。
まるで見えない糸で人形を操っているような楽しさがあるの。
"あの頃"のわたしたちはお人形遊びなんて許されなかったけど……

店の真ん中で立ち止まり目を閉じる。
にいさまも外へ出ていってしまい、ここにはわたし一人だけ。
わたしは一人闇に包まれる。今では懐かしさすら感じる"闇"に。

わたしたちはずっと闇の中にいたわ。
どれ程"そこ"にいたのか、どれくらい前から"そこ"にいたのか、詳しい事はもう思い出せないのだけれど。
"そこ"で覚えたものはいくつかあるの。冷たさ、熱さ、餓え、渇き、そして、痛み。

痛かったの。
最初はハッキリと、段々とぼんやりと。

じわじわ痛かったの
しくしく痛かったの
ずきずき痛かったの

背中が痛かったの
お腹が痛かったの
手が痛かったの
足が痛かったの
腰が痛かったの
首が痛かったの
目が痛かったの
耳が痛かったの
鼻が痛かったの
舌が痛かったの
お尻が痛かったの
胸が痛かったの
・・・が痛かったの

段々どこが痛いのかも分からなくなるの。
何も感じなくなっていくの。
それならそれでもいいと思えていくの。
痛いのは嫌だもの。
痛みを感じなくなるならその方がいいわ。
そう思っていたの。

けど、

あの時からわたしたちは違うところに痛みを感じ始めたわ。

他の子供達を・・し始めてから。

わたしたちは他の子供達
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