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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#41 "I shall have to accept darkness. because……"
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ら下げた方が視界から外れていく。
ごちょう……メニショフ伍長か?
捕らわれているのか、メニショフ伍長も……
いや、伍長だって『遊撃隊』の一員だ。
そう簡単に殺られるようなわけはない。
二人で協力すればまだ任務は達成出来る筈。諦めるな、最後まで諦めるな!
『もう ねえさま 手伝ってよ』
『言ったでしょ レディは重いものなんて持たないの』
視界にさっき出ていったガキが後ろ向きの状態で、何かを引き摺りながら映り込んでくる。
奴が脇に手を入れて運んでいるのは……まさか、メニショフ伍長か!
伍長までも……
いや、待て。まだ決め付けるのは早い。
ああしてやられながらも最後の反撃の時を狙っているのかもしれん。
伍長とて『遊撃隊』のメンバーだ。
共にあの地獄の砂漠を生き抜いた同士なのだ。
とにかく伍長から目を逸らさないことだ。
伍長が何かをするつもりなら、俺もその動きに合わせなくては。
意識を保て!しっかりしろ、サハロフ上等兵!
必ず二人で大尉の元に帰還するんだ!
絶対にメニショフ伍長から目を離すな!
「ああ 重かった
ほら おじさん
おじさんの大事な仲間だよ」
そう言ってガキは伍長の脇から手を離した。
伍長の上半身はゆっくりと傾き、床に大きな音を立てて倒れ込む。
倒れ込んだ伍長の頭は俺の頭のすぐ側の床で一度弾み、少し揺れた後、左側を向けて静止した。
「メニショフ伍長!だいじょ……」
そこから先の言葉は出なかった。
俺はメニショフ伍長から片時も目を離そうとはしなかった。
だからメニショフ伍長の頭が床で弾み左側、つまり俺がいる側を向いた時にもすぐに声を掛ける事が出来た。
ただ最後まで言い切る事は出来なかった。
俺はメニショフ伍長を見ていた。
だがメニショフ伍長は俺を見ていなかった。
いや、見ることが出来ないでいた。
いくらパブロヴナ大尉の部下であっても……
いくら『遊撃隊』のメンバーであっても……
いくらメニショフ伍長が勇敢で誇り高い兵士であったとしても……
「ああ 言い忘れてたけどそのおじさんの目玉はぼくが預かってるから
なんならおじさんのも預かっとこうか? ちゃんとバラライカに届けてあげるよ」
片方のガキが何かを言ったようだが、俺はそれに何も言い返す事はしなかった。
その時の俺に出来た事はただ一つのことだけ。
最後まで戦い抜いたであろう誇るべき僚友の虚ろな眼窩を見つめ続ける事だけだった………
【11月3日 AM 2:18】
Side "闇"に染まり続ける二人
「じゃあ ねえさま ぼくはこのおじさんを車に連れてくね」
「ええ わたし
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