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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#41 "I shall have to accept darkness. because……"
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『くすくす ねえ ねえさま このおじさん連れて帰って遊ぼうか?』
『ええ にいさまの好きにしていいと思うわ
でもその前に伍長さん?だったかしら
そこのおじさんに会わせてあげた方がいいんじゃない?
さっきから一生懸命叫んでいたわよ』
『うん 会わせてあげるのはいいんだけどね
ちょっと迷ってるんだよ』
『あら?何に迷っているの』
『この伍長のおじさんってね とても勇敢なおじさんだったんだよ
最後まで大尉殿 ロシアのおばさんだね の為に戦い抜いたんだよ
だからおじさんの目玉だけでもおばさんに届けてあげようかと思ってさ
おばさんを殺しに行く時 ついでにね』
『あら それは素敵ね
でもいったい何を迷っているの?』
『うん どうせ持っていくんなら目玉だけじゃなくて首ごと斬り取って持っていってあげようかとも思ったんだよ
どう思う? ねえさま』
『首丸ごとじゃあ さすがに重いんじゃないかしら?
にいさまが構わないなら別にいいけど
わたしは手伝わないわよ
レディは重い物を持ったりしないのだから』
『ちぇっ 冷たいなあ ねえさまは
じゃあやっぱり目玉だけ持っていくことにしようかなあ』
『ええ それはにいさまの…』
「(本当に子供じゃないか……くっ。こんな子供に翻弄されていたのか)」
顎を反らすように顔全体をじりじりと後方へと向ける。
短く刈り込まれた髪は床で擦れる後頭部を守ってくれはしない。
ただじゃりじゃりと音を立てるだけだ。
天地が逆さまになった視界の中で、銀色の髪に黒い服を身に纏った二人の子供が喋っている。
一人の手には斧、恐らくは軍用トマホークだ。
刃には赤い血がこびりついている。
もう一人の手にはかなり大きなライフル。形状から察するに狙撃用というよりは分隊支援用のものだろうか。
どちらにせよ、その銃で撃たれたのは疑いようのない事実だろう、俺も、他の連中も。
俺の視線に気付いているのか、いないのか。奴等は笑顔で会話を続けてやがる。
まるで仲の良い家族がそうするように……
「(いかん!しっかりしろ!)」
撃たれた腹の傷から血が流れ過ぎたせいか、一瞬意識を失い掛ける。
噛み切らんばかりに舌先を強く噛むことで意識を覚醒させる。
まだだ、まだ死ぬわけにはいかん。
俺は『遊撃隊』のサハロフ上等兵だ。
俺達が死ぬべき場所は大尉が決められた戦場だけだ、勝手に死ぬ事など許されん。
そうだ、それにメニショフ伍長だって今も戦っているに違いない。
俺一人がこんなところで諦めてたまるもの……
「ああ おじさんごめんね
伍長さんに会わせてあげないといけないね」
俺が何とか意識を保とうとしている中、 斧をぶ
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