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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#40 "killed in action"
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の隅から立ち上がり、ライフルを構えたままでいるねえさまの隣に並び、店内を見渡す。
取り敢えずまだ誰も死んではいないみたいだ。
頭を撃たれた人は無し。お腹か背中、或いは 肩口あたりか。
まあ、これなら未だ楽しめそうかな。

「仕方ないわ。気付かれてしまったのだから。
それに、にいさまの分もちゃんと残してあげているでしょ」

にいさまにそう返事をしながら、カウンター奥の酒瓶が並ぶ棚に視線を向ける。
わたしの撃った弾が何発か当たったのかな?
瓶が割れて、その中身をひたひたと床に垂らし続けてる。
何だか知らないけど大人ってアレ好きよね。
味が良いのか、匂いが良いのか。 或いは"酔う"という行為が好きなのかしら?

確かに大人達は必ず酔っていたかも……
わたしやにいさまを・・・するときも。
別の子達に・・・をするときも。
自分達の代わりにわたしたちに別の子達を ・・・させるときも。

あのときもあのときもあのときもあのときも
あいつもあいつもあいつもあいつもあいつも
いつだっていつだっていつだっていつだって

大人は酒を飲んでいたわね、そう言えば。

「駄目だよ、おじさん。子供にそんな危ないもの向けちゃあ」

後から店に入って来た二人組の内、先に入って来た方の腕を斧で斬り飛ばす。
スーツの内ポケットから銃を取り出そうとしてたから思い切り、ね。
左手で振り上げた斧からは肉を切り裂く感触と骨を断つ手応えが伝わってくる。
うん我ながら良い一振りだな、今のは。

そして一瞬遅れて、切断面から噴き上がるのは血、真っ赤な血。
頭上に掲げた斧にもベットリと付いてるであろう命の(しずく)

ああ…今夜も無事味わえたな……

ぼくの頬にも飛んできたその滴はとても熱く、最高に心地いい。
やっぱりぼくたちは血の海の中でこそ産まれたのだろう。
きっとそうに違いない。
ああ……ねえさま……ねえさまも感じているよね?この想いを。

「ぐっぎゃああああああああ!」

「……あは、良く飛んでるね」

視線の先ではおじさんの上げる悲鳴に後押しされたかのように、銃を握ったままの腕が店の天井近くまで回りながら飛んでいってる。

「勘もいいけど、勇敢でもあるんだねえ。
逃げ出しもせずに銃を取り出そうとするなんて。格好いいね、おじさん」

右腕の肘から先を失ったおじさんに優しく笑い掛けてあげる。
おじさんは残った片手で傷口を押さえながらぼくを睨みつけてくる。

うふふ

本当に勇敢なおじさんだね。
ねえさまに撃たれた傷はいいの?
お腹からだくだく血が流れて服を汚してるよ

ここがロシアのおばさんの縄張りである事は既に確認済みだ。
多分コイツら
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