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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#37 "What are you thinking, when look up at the moon"
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カトラスを顔の前で立てながら話すレヴィの口許には笑いも浮かんでやしない。
細めてる彼女の目には何が映っているのか、眩しさすら感じながら彼女を見つめる。
つくづく思い知らされる。
俺の相棒であるこの女はとびっきりに強くて、とびっきりにイイ女なんだと。
「動くにしても今夜は未だ早いさ」
彼女の横顔に向けて言葉を投げ掛ける。
銃を見たままの相棒は特に返事もしないが、俺はそのまま話し続けた。
聞いてくれている事は間違いない。 その確信はあった。
「ローワンに頼んだ件も明日には片付く。
上手くいけば後ろにいる連中もハッキリする。
それにあの子達はそう簡単に殺られはしないだろうしな。
あまり焦る事もないだろう。
宛どなく街をぶらつくのもお前と二人なら悪くないけどな」
そこまで言って缶のビールを一口含む。
街じゃ今夜も皆が騒いでいるんだろう。
熱に冒されたか、醒めない夢を見るためか、とっくに終わってしまっている現実から目を逸らすためか。
闇に覆われた舞台こそが自分達のステージ。
泥水の中でしか泳げない魚は澄んだ清流に憧れを抱きもしない。
陽の光すら彼等にとっては只の邪魔者にしかなり得ない。
彼等に恩恵を与えるのはただ夜空に浮かぶあの月のみか。
ああ、今夜も本当に綺麗ないい月だ………
「あのよ」
窓から空を見上げて下らん事を考えていたら、レヴィの方から言葉が飛んできた。
ロットンの悪影響でも受けたかな……
軽く頭を降ってから顔を部屋の中に向ければ、彼女は銃を自分のホルスターにしまおうと していたところで俺の方は見ていなかった。
彼女は俺を見ないままに言葉を続けて、 こんなことを聞いてきた。
「あんたは何で銃を握るんだ?」
「………」
彼女の視線は此方に向けられていない。
声も全く平板なものだ。
本当に何気なく発せられたその質問。
いや、何気なく発せられた"ように" 聞こえたその質問。
彼女がそんな事を聞いてくるとはなあ……
不思議な感慨にも似た感情を胸に抱きながら俺はその質問に、さて何と答えたものかと考え始めた。
まあ、夜は長い。
焦らなくてもいいだろう。
思い付くままに語ってみるか。
どうせこの場には俺と彼女しか居ないしな。
「そうだな。とりとめもない話になるかもしれんが……」
俺はレヴィの部屋で彼女と二人きり、今夜の酒の
肴
(
さかな
)
を提供し始めた。
窓から入ってくる月の光を浴びながら………
【11月2日 PM 9:59】
Side ロック
「空が近いんだよな、この街は」
自分の部屋の窓から見上げる
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